最新記事

英語学習

「会話を重視」しすぎた英語教育の末路 今こそ「読み・書き」を再発見せよ!

2018年6月27日(水)17時00分
木原 竜平(ラボ教育センター 教育事業局長)※東洋経済オンラインより転載

英語の授業でニンテンドーDSを使って勉強する生徒(写真は記事内容と関係はありません) Michael Caronna/REUTERS

この30年間、中学校や高校での英語教育は、「会話力」を身に付けることに重きが置かれてきました。コミュニケーションを重視し、「『読む、書く』よりも、『聞く、話す』だ」と、口頭でのやり取りを中心した授業が行われ、文法指導や訳読はあたかも時代遅れかのように考える風潮がありました。文部科学省まで「英語の授業は英語で」と言い出し、現場の先生たちを困惑させました。

しかし、残念ながら英会話中心の指導で、生徒の英語力が上がったわけではありません。文科省は英語の達成目標を中3は「英検3級以上」、高3は「英検準2級以上」と設定し、2017年度まで50%の達成を目標としていました。ところが、結果は、中3が40.7%、高3は39.3%と目標未達に。それどころか、大学では、英語を読んだり、書いたりすることのできない学生が増えており、授業をやり直しているところもあるようです。

英語で話しかける母親に娘は...

コミュニケーション能力を重視した会話中心の指導では、英語は話せないということが、こうした結果から見ることができます。それでは、英語が話せるようになるためには何が必要で、そのために子どもの頃に育みたい力とは、どのようなものでしょうか。

人間は、思考をするときに頭の中で言葉を使用します。考えたり、知識を得たりといった活動は言葉を通して行われるのです。子どもの場合、まずは母語で思考することになります。子どもが「○○が食べたいな」「ママはどこ行ったのかな?」「私は○○がしたい」などと考えるときに言葉は不可欠で、母語を知らずにこうしたことを考えることはできません。

先日、「娘には英語で話しかけています」と自信を持って話すお母さんに出会いました。2歳の娘は母親の話す英語は理解している様子でしたが、笑顔が見られず、自分から何かを発しようとする態度が見受けられません。

2歳の子どもなら笑ったり、ぐずったりするでしょうが、そうした様子も見られませんでした。母娘がどれだけ英語でやり取りしているのかわかりませんが、その女の子は母語の発達が遅れ、自分の考えをまとめられず、心も不安定なのではないかと感じました。

一方、千葉県に住む4歳のT君の例をみてみたいと思います。彼の近頃のお気に入りは、公園で遊ぶことです。一人っ子の彼は公園に顔見知りの友だちもいて、彼らと遊んでいるときはうれしそう。その様子を見ていると、子ども同士で言葉を交わすだけでなく、ひとり言を言っている姿も見受けられました。「こうしてお山をつくって......」「穴を開けて......」「シャベルはどこ?」などと誰に向けるでもなく話していました。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、NATO支持再確認 「必要なときに米を

ワールド

トランプ氏との会談望む、同盟国から安全保証の明確な

ビジネス

米12月ISM非製造業指数、54.4に上昇 雇用が

ワールド

ベネズエラ原油、米に無期限供給へ 制裁も緩和か=報
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじゃいる」──トランプの介入口実にデンマーク反発
  • 4
    日本も他人事じゃない? デジタル先進国デンマークが…
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 7
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 8
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び…
  • 9
    衛星画像で見る「消し炭」の軍事施設...ベネズエラで…
  • 10
    若者の17%が就職できない?...中国の最新統計が示し…
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 9
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 10
    感じのいい人が「寒いですね」にチョイ足ししている…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中