東京五輪に向け活気付く「ラブ」業界 知られざる日本の魅力アピール
5月25日、2019年のラグビーワールドカップ(W杯)と翌年の東京五輪に向けた準備が進む中、さまざまな企業が、日本を訪問する大勢の観光客やメディア、選手たちをビジネスチャンスにつなげようと画策している。写真は都内のラブホテル。23日撮影(2018年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
2019年のラグビーワールドカップ(W杯)と翌年の東京五輪に向けた準備が進む中、さまざまな企業が、日本を訪問する大勢の観光客やメディア、選手たちをビジネスチャンスにつなげようと画策している。
来年9月開幕のラグビーW杯と、その10カ月後に行われる東京五輪は、日本製品に始めて触れるであろう国際的かつ多様な顧客に接するまたとない好機になると、こうした企業は心待ちにしている。
訪日選手団に期待を寄せる業界の中には、日本のコンドームメーカーが含まれる。
競技を終えて羽を伸ばしたい選手たちのために、五輪の主催者側が何万個ものコンドームを配布することは、すでに恒例となっている。
2016年開催されたリオ五輪の選手村では、50万個近くのコンドームが配布された。また2008年の北京五輪で配られたコンドームには、「より速く、より高く、より強く」というオリンピックのモットーが書かれていた。
オーストラリアの射撃選手でアトランタ五輪の金メダリスト、ラッセル・マーク氏は、かつて五輪選手村について「世界でもっとも(男性ホルモンの)テストステロンに満ちた場所」と形容している。東京の五輪選手村には、約1万人の選手が滞在するとみられ、日本のコンドームメーカーは、外国の消費者に自社製品を売り込みたいと意気込んでいる
日本最大級のコンドームメーカーの相模ゴム工業<5194.T>は、五輪を足がかりに、極薄の自社製品をアピールしたいと期待している。
相模ゴムとライバルのオカモト<5122.T>は、厚さ約0.01ミリという世界でもっとも薄いコンドームを生産している。
「0.02ミリと0.01ミリ台のコンドームを出せているのは、世界的にみても日本の2社しかない。日本の技術力はこれだけすごいんだと、世界の人々にアピールできるいい機会になる」と、相模ゴムの山下博司ヘルスケア営業本部営業企画室室長は意気込む。
2012年ロンドン五輪で配られた英レキット・ベンキーザー製の「デュレックス」や、米国の「トロージャン」、オーストラリアの「アンセル」といったブランドは世界的に有名だが、相模ゴムの山下氏は、同社やオカモトにもチャンスがあるとみている。
相模ゴムの極薄コンドームは中国でも人気で、東京五輪は世界的な認知度を高めるきっかけになるだろう、と山下氏は語る。
五輪組織委員会は、まだコンドームの公式サプライヤーを決定していないが、相模ゴムの山下氏は、国際オリンピック委員会(IOC)から要請があれば、2020年の東京五輪に製品を提供する考えだという。必要数は15万個程度と予想しているという。