韓国、労働時間を短くする法改正で禁煙率が高まる...はホント?
写真は仁川空港の喫煙ルーム Dobino-iStock
<韓国の労働時間を短縮するという労働法改正によって禁煙率が高まる、という予想の理由は...>
韓国では、2018年7月から導入される勤労基準法改正法が喫煙率の低下に繋がるのではという予測がある。労働時間の短縮を規定した改正法と喫煙率にどんな関わりがあるのだろう。
2005年に51.6%だった韓国の男性喫煙率は2015年には40%を切る39.4%となったが、依然としてOECD加盟国の中でギリシャに次ぐ2番目に高い水準で、韓国保健福祉部(部=省に相当)は、2020年までに29%とするという数値目標を掲げている。
飲食店を全面禁煙に
2012年にさかのぼるが、受動喫煙を減らすため、店舗面積150平米以上の飲食店を原則禁煙とした。喫煙室がある店は容認されたが、煙が禁煙スペースに流入しないようガラスや壁などで仕切り、屋外に直接排出させるなどの厳しい要件を課したため、喫煙室の設置はカフェなどごく一部にとどまった。
2015年1月にはすべての飲食店と公共建物を禁煙に。当初は喫煙客のゴリ押しで喫煙を容認する店もあったが、喫煙した客と飲食店の双方に罰金が課されるようになった同年4月以降、店内での喫煙はなくなっている。
そして、ソウル市も繁華街を中心に路上喫煙の禁止区域を拡大し、2016年5月からは地下鉄駅の出入口10m以内はすべて禁煙となっている。
さらに、2015年1月には、たばこの値上げを実施。これに合わせて、全国の自治体が運営する保健所に禁煙クリニックを設置した。無料でカウンセリングを行い、禁煙補助治療剤(ニコチンガム、パッチ)などを無料で提供する。同2月からは民間病院が運営する禁煙クリニックにも補助を拡大している。
増税に伴う値上げで1箱2500ウォンのたばこが4500ウォン(約450円)になり、成人喫煙率は2014年の24.2%から2015年には22.6%まで低下、男性喫煙率も43.2%から39.4%まで下がったが、翌16年には男性喫煙率40.7%、成人喫煙率23.9%と微増しており、税収も増えている。
韓国・ハンギョレ新聞によると、政府は値上げから1年を経過した2016年のたばこの販売数を2014年の43億5千万箱と比べて34%減少すると目論んでいたが、実際は16%減の36億6千万箱で、たばこ税収は値上げ前の6兆9千億ウォンから12兆3千億ウォンに倍増しているという。たばこ販売最大手のKT&Gも純利益が2014年の7470億ウォンから1兆873億ウォンに増えている。
労働法改正は禁煙につながるのか
では、2018年7月から導入される勤労基準法改正法と喫煙率にどんな関わりがあるのか。
韓国では公共建物内での喫煙が禁止されており、オフィルビル等に勤務する喫煙者は、ビル外に設置されたスペースでのみ喫煙が可能で、ビルを出入りする際に使用するセキュリティカードが勤怠管理に利用されはじめている。