最新記事

世界中の海岸を襲うクラゲに、科学者達が立ち上がった

2018年5月7日(月)18時30分
松丸さとみ

MASSIVE INVASION of BABY JELLYFISH-Youtube

原子力発電所や養殖場など、億単位の被害も

日本では、エチゼンクラゲの大量発生が数年前から深刻な問題となっている。しかしクラゲの種類は違えども、大発生とそれに伴う経済的な被害は地球規模の問題のようだ。そしてそんなクラゲをなんとか商用利用できないかと、模索する科学者もいる。

クラゲの大量発生は、世界各地で深刻な被害を引き起こしている。日本やスコットランド、イスラエル、米国フロリダ、スウェーデンなどの原子力発電所で、大量に発生したクラゲが取水口に詰まり、運転の一時停止を余儀なくされたと、これまで何度も複数のメディアで報じられてきた。

また、BBCによると北アイルランドでは2007年、猛毒を持つオキクラゲが大量発生して、アイルランド唯一のサケ養殖場で10万尾以上が死滅。100万ポンド(約1.5億円)の被害を出した。

BBCは2012年、「最も異常なクラゲの大量発生」の事例として日本でのエチゼンクラゲ被害を挙げ、「重さ220キロ、直径2メートルにもなる冷蔵庫サイズ」のクラゲが日本海に大量発生して、漁業で数十億円の被害を出していると伝えていた。

一方ガーディアンは2013年、1平方メートルあたり30〜40匹のオキクラゲが数キロにわたって、地中海の海岸を覆い尽くしたと伝えていた。地中海沿岸ではこの他にも、サルデーニャ島やシチリア島、地中海東側のイスラエルやレバノンなど広い地域で打撃を受けているという。

今年5月5日にも、マルタ島の東海岸一面が「紫色のカーペットのよう」になるほどオキクラゲが大量発生した。マルタ・インディペンデント紙によると、通常は5月下旬から6月上旬に発生することが多いらしい。

捨てるクラゲ、お金を生まないだろうか?

そんなクラゲをなんとか商用利用して利益を生めないかというプロジェクトが、今年1月にヨーロッパで始動した。8カ国、15の組織から集まった科学者40人強が、「GoJelly」(ゴージェリー)というプロジェクトを立ち上げたのだ。

ドイツのキールにあるGEOMARヘルムホルツ海洋研究センターを拠点とし、欧州連合から4年間で600万ユーロ(約7.8億円)の資金提供を受け、クラゲを活用できる商品の開発を目指す。

米月刊誌ポピュラー・サイエンス(電子版)によると、ゴージェリーが目指しているのは、通常なら漁師の網にかかってそのまま捨てられてしまうクラゲを、人が自ら捕まえてきて売りたくなるような、利益を生む商品を開発することだ。そうした人たちからゴージェリーがクラゲを買い上げ、再利用するのが目標だ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

韓国大統領、中国国家主席と会談 両国関係「新たな段

ワールド

トランプ氏、対コロンビア軍事作戦を警告 「良い考え

ビジネス

台湾検察、東京エレク現法を追起訴 TSMC機密取得

ビジネス

英消費者向け融資、11月は2年ぶり大幅増 家計需要
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...強さを解放する鍵は「緊張」にあった
  • 2
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 3
    2026年の節目に問う 「めぐみの母がうらやましい」── 韓国拉致被害者家族が見る日韓の絶望的な差
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    野菜売り場は「必ず入り口付近」のスーパーマーケッ…
  • 7
    ベネズエラ攻撃、独裁者拘束、同国を「運営」表明...…
  • 8
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 9
    スペイン首相、アメリカのベネズエラ攻撃を「国際法…
  • 10
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 6
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 7
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 10
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中