最新記事

メンタルヘルス

米でうつ病が5年で33%増、その理由は...

2018年5月14日(月)19時00分
松丸さとみ

米国でうつ病が5年で33%増加したことがわかった kieferpix-iStock

10代での増加は6割

米国で、2013年から2016年の5年間でうつ病と診断された人の数が、33%増加したことが明らかになった。米国の保険会社ブルークロス・ブルーシールズ(BCBS)が5月11日にデータを発表したもので、増加は特に10代やミレニアル世代に顕著だという。

調査の対象となったのは、BCBSの被保険者である12〜64歳の4100万人。2016年にうつ病(病名としては大うつ病性障害)と診断され保険を請求した人の割合は4.4%(女性6.0%、男性2.8%)だった。人数にすると900万人以上となる。

世代別で見ると、増加が特に顕著だったのは12〜17歳で増加率は63%。次いでミレニアル世代(18〜34歳)の47%だった。なお、35〜49歳は26%増、50〜64歳は23%増だった。

若い世代に特に増加が見られた理由として、精神科医のカリン・ホロウィッツ医師はBCBSの報道発表文の中で、「電子機器使用の増加と睡眠障害の組み合わせ」の可能性を挙げている。

また米紙「USAトゥデイ」は、昨年11月に発表されたサンディエゴ州立大学とフロリダ州立大学による共同研究結果に触れ、子供たちが携帯電話やパソコンを使う時間が増えたことが、うつ病増加の原因となっている可能性があると指摘している。

両大学の研究によると、携帯電話やパソコンの画面を5時間以上見て過ごす十代の子供たちの半数近くが、自殺の考えが頭をよぎったり、絶望や悲しみの感情を抱いたりするという。

大うつ病性障害と診断された人の割合を州別に見ると、ロードアイランド州が6.4%で最も高く、メイン州(6.1%)、ユタ州(6%)と続く。最も低かった州はハワイ州で、2.1%だった。また、2013年と比較して、全50州中49州でうつ病の診断件数が増加したが、唯一ハワイ州だけが減少していた。

うつ病への認識変化の表れ?

どの世代、そしてほぼどの地域でもうつ病と診断された人が増えたことになるわけだが、なぜなのだろうか。BCBSの最高医療責任者トレント・ヘイウッド氏は米誌フォーブスに対し、「社会的孤立、ソーシャル・メディアの使用、競争社会、離婚率などの増加やその他の問題が、うつ病増加に影響しているのかもしれない」と述べた。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

サウジ、外国人人材の高額給与を抑制 経済改革の注力

ワールド

フィッチ、ウクライナ格付けを「制限的デフォルト」に

ビジネス

SHEINの仏5実店舗オープン延期、パリ店の評価受

ビジネス

VW、投資計画を来年発表へ 厳しい市場環境で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 3
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 6
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 7
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 8
    レアアースを武器にした中国...実は米国への依存度が…
  • 9
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 10
    反ワクチンのカリスマを追放し、豊田真由子を抜擢...…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中