最新記事

子育て

セクハラしない人間に育てる方法

2017年12月22日(金)17時45分
メリンダ・モイヤー(サイエンスライター)

専門家は、こうした違いは社会における男女のステータスの差による部分もあるのではと考えている。「ステータスの低い集団(女子)は一般的に、ステータスの高い集団(男子)の特徴を取り入れることがよくある。自分のステータス評価の向上につながるからだ」と、リーパーは言う。一方、高いほうが低いほうのまねをすることはあまりない。ステータスの喪失と見なされる可能性があるからだ。

「性的逸脱」に対する誤解

男の子には青い服を女の子にはピンクを着せるとか、男の子には男の子向けの、女の子には女の子向けの玩具を買い与えるといった文化的伝統に逆らうと、あきれた目で見られがちだ。表面的には、こうした慣習はさして害のないものに見える。

だがリーパーの研究から分かるのは、こうした慣習が「男女は全く異なる存在で、女子は男子より劣る」という思い込みを育てることにつながるという点だ。そして思春期になると、この思い込みは「男が性的な逸脱行為に及んでも構わない。男とはそういうものだから」という考えへと変容する。

映画プロデューサーのハービー・ワインスティーンらが「自分には女性の体を好きにする権利がある」と思い込んだ背景にあるのは、まさにこうした考え方だ。

一方、明るいニュースもある。大人の働き掛け次第で、平等な考えを子供に植え付けることは可能だ。

性別の異なる子供と一緒に遊ぶように促すのも1つの手だ。マーティンらが就学前児童を対象にした01年の研究によれば、子供は同じ性別の子供と遊ぶことが多ければ多いほど、ステレオタイプ的な「男の子/女の子らしい」行動を取る傾向が強くなったという。

男女が一緒に遊ぶと「互いへの理解が深まり、一緒にいることが気にならなくなり、ある種の社会的な弾力性が育つのかもしれない」とマーティンは言う。

子供の見るテレビ番組やCMでも、性のステレオタイプや登場人物の男女比の不均衡は珍しくない。テレビで性差別的な場面を見掛けたら、そのたびにきちんと指摘するべきだと、ビグラーは言う。「どうしてテレビで探検に出るのは男の子だけなんだと思う? それって公平?」と問い掛けるのだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

訂正-カンザスシティー連銀総裁、12月FOMCでも

ビジネス

米バークシャー、アルファベット株43億ドル取得 ア

ワールド

焦点:社会の「自由化」進むイラン、水面下で反体制派

ワールド

アングル:ルーブルの盗品を追え、「ダイヤモンドの街
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 5
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 6
    『トイ・ストーリー4』は「無かったコト」に?...新…
  • 7
    文化の「魔改造」が得意な日本人は、外国人問題を乗…
  • 8
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 9
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 10
    中国が進める「巨大ダム計画」の矛盾...グリーンでも…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 9
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 10
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中