セクハラ・性暴力に「俺は無関係」と言えない理由
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<「#MeToo」を合言葉にセクハラ告発が世界に拡大中だが、多くの日本人男性にとっては無関係な問題――本当にそうだろうか。世代間の差や日本に特有の難しさも含め、「ホワイトリボンキャンペーン・ジャパン」の多賀太・共同代表に聞いた>
米ハリウッドから始まり、業界や国境を超えて広がっている「#MeToo(私も)」。セクシュアル・ハラスメント(性的嫌がらせ)や性的暴行に抗議する(主に)女性たちの告発だ。
この問題は多くの男性にとっては無関係に思えるかもしれないが、実際はどうなのか。男性主体で女性への暴力防止に取り組む啓発運動「ホワイトリボンキャンペーン・ジャパン」の共同代表を務める多賀太(関西大学文学部教授)に話を聞いた。
――DV(配偶者・恋人間の暴力)や性暴力の被害者は、圧倒的に女性が多い。多くの男性は加害者でもないだろうから、どうしても他人事になりがちだ。
まずは、「男性が加害者、女性が被害者」と捉えるのをやめて、被害に遭った人たちは男性にとって「大切な人」なんだと分かってもらうことが重要だ。
もしも自分の娘や妻や恋人、母親や友人や同僚が被害者になったらどうか? 例えば教育関係者であれば、自分の生徒がそういう目に遭ったら? 自分の身近で大切な人である女性がこれだけ被害に遭っているのに、他人事で済ませられるのかと考えてもらう。
もう1つは、あなただって被害に遭うかもしれないということ。多くの男性は自分が被害者になることを想定できないだろうが、そんなことはない。女性からセクハラを受けることもあるだろうし、同性間のセクハラや性暴力もある。もう少し広げてパワハラの被害を想像してみてもよい。何らかの嫌がらせを受ける可能性があるとき、同じように苦しむ人を放っておいていいのかということだ。
――ハリウッドでセクハラ問題が持ち上がったときは、「かつてはそういう文化だった」とも言われた。若い世代では「そうしたことは許されない」と意識が変わってきているようだが、日本でも世代間の差はあるだろうか。
それは感じる。私(48歳)は青年期になって初めてセクハラという言葉を聞いた。DVという言葉を知ったのは大人になってからだ。私よりずっと若い世代は、そういうこと(DVやセクハラ)はいけないと子供の頃からどこかで見たり聞いたりする機会が確実に増えているだろう。
もちろん世代内での個人差は大きいし、リベラルなことを言っている若者世代でも非常に古風な面があることもある。それでも性差別や性暴力の問題に敏感な男性は若い世代ほど多いと感じる。
【参考記事】セクハラ告発#MeTooは日本にも広がるか