嘘だらけの劉暁波の病状に関する中共プロパガンダ
家族がこの撮影中に「病院に感謝する」という言葉を言わない限り、劉暁波の治療をストップするぞという強迫をしたのだと、人権派弁護士は教えてくれた。もし専門医が来て劉暁波本人と会話をした場合は、「当局がどのようなことをしてきたかという真相」が分かってしまうことを当局が怖れた結果、「これこの通り、十分な治療を行ない、家族も感謝している」ということを海外に知らせるためのプロパガンダ映像に過ぎないとのこと。
人権シンポジウムで中国こそがリーダーと
2017年中国・欧州人権シンポジウムが7月2日、オランダのアムステルダムで開催された。これに関して、中国国営テレビのCCTVが誇らしげに「中国こそは人権問題において世界のリーダーシップ的役割を果たしている」と報道した。唖然としたが、以下、中国政府のプロパガンダの役割をしている中国国際放送局の日本語版ウェブサイトをご覧いただければ、一目瞭然。そこには中国国務院新聞弁公室の崔玉英副主任が開幕式で以下のように挨拶していることが書いてある。
「中国は人類運命共同体理念を構築する提唱者だけではなく、この理念の推進者と実践者でもある。中国共産党及び中国政府は人権を非常に重視し、保護している。自国の国情にふさわしい発展の道を歩むことを堅持し、国民の権利を常に第一に位置付けている。また、国際人権事業の発展を積極的に推進し、国連の持続可能な開発目標を実現するために大きな貢献をしてきた」
この欺瞞、この虚偽、この虚構――!
これが中国だ。筆者は日夜、このことと闘っている。
7月7日と8日にはドイツでG20首脳会議が始まる。どの国の首脳が習近平国家主席に「劉暁波に関する人権問題」に関して苦言を呈する勇気があるか。それは一種の踏み絵でもある。注目したい。
[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』(飛鳥新社、7月20発売予定)『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。