内向型人間が自覚すべき、ストレスを感じる10のポイント
不安と向き合う
ではどうすれば「内向型人間」は不安を克服し、大事なことを行動に移すことができるのでしょうか? これは難しい問題です。でも解決できない問題ではありません。対処法はあります。不安は無意識にひそんでいるものなので、不安を意識すればコントロールできるようになるからです。この基本はどんなときも変わりません。私がこれから紹介する不安の対処法には共通点があります。それは「不安から逃げないこと」。不安に立ち向かっていく方法を説いていることです!
基本的な不安の対処法
段階(1):意識して不安を受け止める
小さい子供はよくベッドの下にお化けがいるかもしれないと言ってこわがります。不安克服の第1段階もこのお化け不安症の治療法に似ています。ベッドの下にランプを置き、お化けを退治すると子供の不安はおさまります。要は、不安に光を当てる、積極的に関わろうとすることです。
段階(2):「なぜこれをすることが大事なのか」、「なぜ不安をかかえてもやりとげなければならないのか」を意識して考える
決断しましょう。不安に振りまわされないことです。何かを実行に移そうとすると脳内で自動的に不安が生じます。ですがそこで、危険をおかしてでもやる価値があるのだと自分に言い聞かせ、決行するのです。
これはあなたの快適ゾーンを広げるチャンスでもあります。不安を真正面から受け止め、目的に達するためにはおかすべき危険もある、と冷静に考えてみましょう。
不安を声に出してみる
不安のもとになっているのは変化をおそれる気持ちです。人間の脳は基本的に変化を害とみなします。不安を感じやすい「内向型人間」の脳はなおさらです。目をつぶっていても歩けるほど歩き慣れた道に別れを告げ、新しい道を選べば、困難に突き当たるのは当然です。なぜならこれまでの習慣が通用しないからです。習慣が通用しなければ、意識的に行動するしかありません。アメリカ人作家、セス・ゴーディンは著書『「新しい働き方」ができる人の時代』(三笠書房、神田昌典訳、2011年)の中で「不安を声に出せば、不安を退治することができる」という画期的な方法を説いています。たとえば「私は講演をするのがこわい。聴衆の中に私と反対意見の人がいるからだ」と大きな声で言うと不安をやわらげることができると言います。
脳の中に新たな神経路を開拓する
これは神経生物学的な観点からすると最良の方法です。意識や思考をつかさどる大脳皮質には、不安中枢とも呼ばれる扁桃体を安定させる力があります。ですから何かを行うのに不安があるときは、「なぜ不安をかかえてもやりとおさなければならないのか」を意識して考えることです。すると脳の中に新たな神経路が開拓され、精神的キャパシティーを広げることができます。それを続けていくと神経路が安定し、同じような行為をしても不安中枢が以前ほど活発には反応しなくなります。たとえば人前で話をしても取り乱すことなく、多少緊張する程度ですむようになるのです。
※第4回:内向型人間がいないと多くのプロジェクトは成立しない
『内向型人間のための人生戦略大全』
シルビア・レーケン 著
岡本朋子 訳
CCCメディアハウス
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