最新記事

デンマーク

「世界一幸福」なデンマークはイギリス人にとっても不思議の国

2017年4月21日(金)16時37分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

人と人が信頼し合えるデンマークで見つける幸せ

ヘレンが出会ったデンマーク人に必ず尋ねるのは「あなたの幸せスコアは10点中、何点ですか?」というものだ。驚いたことに、職種を問わず、ほとんどのデンマーク人が8点または9点と答えている。

研究によれば、幸せの度合いというのは、ある一定の収入を越えると必ずしも富に比例しないという。物をたくさん買えてもそれで幸せになれるわけではなく、物欲には限りがない。働けど働けどいつも満たされない思いを抱えていたロンドン時代のヘレンに自分を重ねる読者は多いだろう。

一方、ワーク・ライフ・バランスを重んじるデンマークでは、収入の多い人は50%以上もの税金を納めている。潤沢な共有財産があるから、皆が安心して生活することができるという仕組みだ。

物価は総じて高いので、無駄な買い物もしなくなる。また職場と家庭以外に、趣味のサークルをいくつも持っている人がほとんどで、そこでは収入の差を超え、共通の趣味を通じて自分の存在を実感することができる。ボランティアももちろん盛んだ。結果としてデンマークでは、人と人が互いに信頼し合える社会が成り立っている。

赤ん坊を寝かせたベビーカーを店の外に放置したまま、両親が店内で食事をとっている光景にはじめは腰を抜かしたイギリス人夫婦も、本書の最後では、生まれてきたわが子をベビーカーに眠らせたまま、店の外に置いて食事をとっている(!)。治安の良さという意味でも、このような国は稀有といわざるを得ない。

孤軍奮闘しながら異国の地で暮らすヘレンは、コメディ映画さながらに失敗を繰り返しながら、自分らしいヒュッゲな生活を模索する。レゴマンの仕事の契約更新は1年。さて、ヘレンはこの地に残るのか、それとも故郷へ帰るのか、彼女の決断に最後まで目が離せない。

【参考記事】欧米でブームの「ヒュッゲ」で日本人も幸せになれる?


『幸せってなんだっけ?――世界一幸福な国での「ヒュッゲ」な1年』
 ヘレン・ラッセル 著
 鳴海深雪 訳
 CCCメディアハウス


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EUのロシア産ガス輸入停止、「法的に100%正当」

ワールド

サウジ非石油部門PMI、1月は6カ月ぶり低水準 コ

ワールド

ウクライナ、欧米と停戦監視計画で合意 ロシア違反な

ワールド

インド、米国から石油・防衛品・航空機など購入へ=当
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗り物から「勝手に退出」する客の映像にSNS批判殺到
  • 2
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れるアメリカ」に向き合う「日本の戦略」とは?
  • 3
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 4
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体
  • 7
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」…
  • 8
    エプスタイン文書追加公開...ラトニック商務長官、ケ…
  • 9
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 10
    共和党の牙城が崩れた? テキサス州で民主党が数十…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 8
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中