最新記事

映画

ディズニー映画のヒット率が高まっている理由

2017年4月13日(木)11時15分
宇都宮 徹(東洋経済記者)※東洋経済オンラインより転載

現在公開中の『モアナと伝説の海』。女の子が活躍し、余韻を残すミュージカル、そして個性的なキャラクターこそディズニーアニメの真骨頂だ ©2017 Disney. All Rights Reserved.

4月8日から約半年間、東京・お台場にある日本科学未来館で、「ディズニー・アート展」が開催されている。はじめてミッキーマウスがスクリーンに登場した1928年制作のアニメ-ション『蒸気船ウィリー』から、最新作『モアナと伝説の海』まで、約500点の原画がズラリと並ぶ。

およそ90年の間に数多くのディズニーアニメ-ションが作られてきた。現在でも語り継がれる名作が多いが、さらにここ数年の特徴と言えるのが、ヒットの確率が高まっていることだ。

2014年4月公開の『アナと雪の女王』が国内興行収入255億円という日本歴代3位の数字を記録したことは記憶に新しい。そしてその後も、年間興行収入ランキングでベスト10に入るような作品が続いている。

モアナは公開1カ月で約300万人を動員

たとえば、2014年12月公開の『ベイマックス』は、91.8億円を記録。2015年7月公開の『インサイド・ヘッド』は40.4億円に達した。さらに2016年4月公開の『ズートピア』が76.3億円、同年7月公開の『ファインディング・ドリー』も68.3億円と、年に複数本のヒット作を生み出すことに成功している。

現在公開中の『モアナと伝説の海』も好調だ。ポリネシアに伝わる伝承をモチーフに描かれた作品で、海に選ばれた16歳の少女モアナが島の危機を救うために、禁止されていた島の外へ踏み出す冒険ファンタジー。子どもだけでなく幅広い女性客の心をつかみ、公開1カ月で観客動員数は300万人を突破、興行収入も40億円を超えるヒット作となっている。

なぜヒット作が増えているのか。口コミなどで評判が広がっていることもあるが、少なくとも観る側に "ハズレがない"安心感を生み出していることが、興行収入の高位安定につながっているといえるだろう。

背景にはディズニーアニメ-ションの体制にある。転換点は2006年、ピクサー・アニメーション・スタジオがウォルト・ディズニー・スタジオの傘下に入ったことにある。ディズニーのアニメーション部門は、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオとピクサー・アニメーション・スタジオという、二つの主要なブランドを持つこととなった。

同時に、ピクサーのジョン・ラセター氏がディズニー・アニメーション・スタジオのチーフ・クリエイティブ・オフィサーを兼務、同じくピクサーのエドウィン・キャットマル氏も両スタジオの社長を兼任し、ピクサー流の製作メソッドがディズニー側にも浸透していった。

toyokeizai170412-sub.jpg

ジョン・ラセター氏。長らくディズニー、ピクサーでチーフ・クリエイティブ・オフィサーを務める Brendan McDermid- REUTERS

面白さを求め、とことんまで議論

そのひとつの結果が、クリエーター自らがアイデアを出し合って、ひとつの映画作品をつくりあげていく、現場主導の制作体制だ。面白いストーリーやキャラクターを考えるために、とことんスタジオ内で議論する"ワイガヤ"な環境が、ヒット作を生み出す原動力になっている。そこに、ディズニーが伝統的に得意としてきた、「女の子が活躍するファンタジー」「余韻が残るミュージカル」「動物が主人公の物語」などを上手に組み合わせたことで、女性だけでなく、幅広い層の支持を得た。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

情報BOX:米・イスラエルのイラン攻撃後の中東にお

ワールド

マレーシア中銀、政策金利据え置き 成長見通しに自信

ビジネス

米投資家のティール氏が高市首相を表敬訪問、日米先端

ビジネス

米商業不動産の混乱、ドイツ不動産銀行の業績圧迫
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 2
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られる」衝撃映像にネット騒然
  • 3
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 4
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 5
    「外国人が増え、犯罪は減った」という現実もあるの…
  • 6
    「イランはどこ?」2000人のアメリカ人が指差した場…
  • 7
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 8
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 9
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 10
    戦術は進化しても戦局が動かない地獄──ロシア・ウク…
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 3
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 4
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの…
  • 7
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 8
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 9
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 10
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中