欧米でブームの「ヒュッゲ」で日本人も幸せになれる?
デンマーク人のメンタリティと「ワーク・ライフ・バランス」
先日発表された「世界幸福度報告書2017」によると、長年保持していた幸福度ランキングのトップの座をノルウェーに譲り渡したものの、デンマークは2位(日本は51位)。欧州委員会による幸福度指数でも、デンマークの幸福度は40年連続でトップに君臨している(ヘレン・ラッセル『幸せってなんだっけ?』より)。では、なぜデンマーク人は幸福なのか?
デンマーク人は時間の使い方のプロであるという。仕事にプライベートは持ち込まず、逆にプライベートにも仕事を持ち込まず、「オン・オフ」をはっきりさせる。そのため時間のムダは徹底的に省かれ、それが労働時間短縮につながり、結果として生産性の高さは世界トップクラスにある。
「仕事とヒュッゲは一番離れたところにあるかもしれません。融通が効かないと思うことも多々あるのですが(笑)、自分のペースを守り抜く頑固さがあり、そのオン・オフの徹底がデンマーク人の幸せの秘訣だと思います」と大辺氏は言う。
デンマーク人を突然食事に誘っても、OKをもらえないことについては兼高氏も指摘する。自分のペースを乱されることは断固拒否し、自分のペースを保ち続けるための努力を惜しまない。それが厳しい自然環境の北欧で生き抜く知恵であり、ワーク・ライフ・バランスを保つ礎(いしずえ)にもなっているのだ。
幸福度ランキング51位の日本人も幸せになれる?
しかし、さまざまなランキング指標におけるデンマーク人の幸福度の高さ、そして日本人の幸福度の低さについては疑問があると大辺氏は言う。
「長引く不況にあっても、物質的にも社会的にも、日本人はデンマーク人に負けず劣らず恵まれています。しかし、自分が幸せであることを口に出すことを日本人は躊躇します。謙虚な気持ちゆえかもしれませんが、『自分はそんなに幸せではない』と振る舞います。結果、自分は幸せではないと本当に思い込んでいるのではないでしょうか」
デンマーク人は些細なことに幸せを見出し、一つひとつの小さなことに幸せであると言って憚らない。このデンマーク人のポジティブ思考を日本人が見習ってもいいのではないかと大辺氏は提案する。
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では、日本人はどうしたら幸福度を上げることができるのか?
「ヘレン・ラッセルさんも著書で触れていますが、『選択肢を減らす』はひとつの重要なポイントだと思います。日本はモノに溢れ、選択肢の多い社会です。選択肢が多すぎるせいか、他人と比較して自分は何を持っていないのかとネガティブに考えがちです」
このように自分に何がないのかではなく、自分がすでにもっているものについて改めて考えてみると、思っていた以上に多くをもっていることに気づかされる。これがデンマーク人の考え方であり、「ヒュッゲ」の哲学なのだ。
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