ベネズエラへ旅立つ前に知っておくべき10のリスク
6. 犯罪は表に出てこない
ベネズエラの治安というと殺人が注目されますが、圧倒的に多いのは強盗と身代金目当ての誘拐です。その場で金品を取られるだけならラッキー。数時間拘束されるだけのエクスプレス誘拐はかなり頻繁に起きている上に、下手すると殺されるので注意が必要です。
さらに、誘拐は特殊な例でない限り、あまりニュースになりません。ありきたりなのもあるでしょうが、当事者が事件を公にしたくない事情もあると思います。問題解決には大金が動きます。インフレで何でも安いとはいえ、命に関わる事件に巻き込まれれば、突如、大金が必要になるのがベネズエラです。
万が一誘拐事件にあった場合は、決して地元警察や国家警備隊には頼らず、CICPCに助けを求めましょう。まだ機能しているようです。
【参考記事】社会を分断し国を不安定化させるベネズエラの食料配給制度「CLAP」
7. 病気や怪我のリスク
ベネズエラの医療事情は悲惨です。医療費無料の公立の病院では、まともな医療が受けられる状態ではありません。もはや医療品不足というレベルではなく、戦争中のような、人道的危機状況にあります。このような中で、普通なら助かる人たちが助からず、子供や弱った患者は次々と亡くなっています。
ネット上には誰かが隠れて撮影した病院の写真がたくさん出回っています。
旅行保険に加入していれば普通は私立のクリニックに運ばれるでしょうが、私立病院の状況も深刻です。しかも病院に薬がない場合が多く、治療に必要な薬は自分で持参しなければなりません。薬は貴重なので郵送でも、持ち運びでも、空港でも、盗られる可能性が高く、現金以上に注意が必要です。
旅行保険に入っていてもベネズエラでは必要な時に必要な治療を受けられないリスクがあります。
さらに、ベネズエラではジカ熱やチクングニア熱、デング熱、シャーガス病、マラリアが急増しています。これらの予防対策は各自行うしかありません。ちなみに、デング熱にかかった場合はバファリンなどのアスピリンは決して服用してはいけません。
8. ベネズエラで死んだら
死んで終わりではないのがベネズエラです。現地で日本の旅行保険会社の業務に携わり、エンジェルフォールなどの観光のためベネズエラを訪れた邦人の死亡案件に何度か関わったという日本人の話では、死後の手続きにおいて、あらゆる場面で、為替管理制度や腐敗した役人、警察が障壁になったそうです。いずれも、賄賂なしには遺体を遺体安置所から動かせず、動かせても県境を越える度に賄賂を要求されたそうです。あらゆる手続きに公定レートが適用され、結果的に膨大な費用となったそうです。
このように、ベネズエラへの渡航リスクは目に見えることだけではありません。また、実際にこのような事態に直面したとき、日本の大使館や領事館からのサポートを期待することはできません。