最新記事

ベネズエラ

ベネズエラへ旅立つ前に知っておくべき10のリスク

2017年3月14日(火)19時24分
野田 香奈子


6. 犯罪は表に出てこない

ベネズエラの治安というと殺人が注目されますが、圧倒的に多いのは強盗と身代金目当ての誘拐です。その場で金品を取られるだけならラッキー。数時間拘束されるだけのエクスプレス誘拐はかなり頻繁に起きている上に、下手すると殺されるので注意が必要です。

さらに、誘拐は特殊な例でない限り、あまりニュースになりません。ありきたりなのもあるでしょうが、当事者が事件を公にしたくない事情もあると思います。問題解決には大金が動きます。インフレで何でも安いとはいえ、命に関わる事件に巻き込まれれば、突如、大金が必要になるのがベネズエラです。

万が一誘拐事件にあった場合は、決して地元警察や国家警備隊には頼らず、CICPCに助けを求めましょう。まだ機能しているようです。

【参考記事】社会を分断し国を不安定化させるベネズエラの食料配給制度「CLAP」


7. 病気や怪我のリスク

ベネズエラの医療事情は悲惨です。医療費無料の公立の病院では、まともな医療が受けられる状態ではありません。もはや医療品不足というレベルではなく、戦争中のような人道的危機状況にあります。このような中で、普通なら助かる人たちが助からず、子供や弱った患者は次々と亡くなっています。

hospital-venezuela.jpg

ベネズエラの病院の周囲は軍が待機しており、病院内の報道はとても困難です。そのため、
ネット上には誰かが隠れて撮影した病院の写真がたくさん出回っています。


旅行保険に加入していれば普通は私立のクリニックに運ばれるでしょうが、私立病院の状況も深刻です。しかも病院に薬がない場合が多く、治療に必要な薬は自分で持参しなければなりません。薬は貴重なので郵送でも、持ち運びでも、空港でも、盗られる可能性が高く、現金以上に注意が必要です。

旅行保険に入っていてもベネズエラでは必要な時に必要な治療を受けられないリスクがあります。

さらに、ベネズエラではジカ熱やチクングニア熱、デング熱、シャーガス病マラリア急増しています。これらの予防対策は各自行うしかありません。ちなみに、デング熱にかかった場合はバファリンなどのアスピリンは決して服用してはいけません


8. ベネズエラで死んだら

死んで終わりではないのがベネズエラです。現地で日本の旅行保険会社の業務に携わり、エンジェルフォールなどの観光のためベネズエラを訪れた邦人の死亡案件に何度か関わったという日本人の話では、死後の手続きにおいて、あらゆる場面で、為替管理制度や腐敗した役人、警察が障壁になったそうです。いずれも、賄賂なしには遺体を遺体安置所から動かせず、動かせても県境を越える度に賄賂を要求されたそうです。あらゆる手続きに公定レートが適用され、結果的に膨大な費用となったそうです。

このように、ベネズエラへの渡航リスクは目に見えることだけではありません。また、実際にこのような事態に直面したとき、日本の大使館や領事館からのサポートを期待することはできません。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダック反落、軟調な経済指

ワールド

米、イラン産原油積載タンカー拿捕を検討 圧力強化へ

ビジネス

米フォード、第4四半期は111億ドルの最終赤字 E

ビジネス

リフトの四半期利益見通し低調、25年は営業赤字 株
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 2
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...周囲を気にしない「迷惑行為」が撮影される
  • 3
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 4
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 5
    崖が住居の目の前まで迫り、住宅が傾く...シチリア島…
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    変わる「JBIC」...2つの「欧州ファンド」で、日本の…
  • 8
    衆院選で吹き荒れた「サナエ旋風」を海外有識者たち…
  • 9
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 10
    台湾侵攻を控えるにもかかわらず軍幹部を粛清...世界…
  • 1
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 5
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 6
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 7
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 9
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中