自分の代わりに自分を宣伝してくれる人を育てよ
満たされていない基本的ニーズに応える
魅力的なアイデアとは、ターゲット層の基本的な要求に応えるものだ。心理学者のクレイトン・アルダファーは、人間の基本的欲求を「生存の欲求」「関係の欲求」「成長の欲求」の3つに分類している。これを参考に、アイデアのアピール度を確かめよう。あなたの提案は人々が繁栄し、交流し、能力を成長させるために役立つか。
繁栄の手助けをするには、健康、富、幸福という基本をおさえなければならない。どれでもかまわない。どれかに貢献する何かを提案すれば、少なくとも注目は得られる。いい例が、金融ジャーナリストのマーティン・ルイスだ。彼が創設したウェブサイトは、イギリスで絶大な人気を誇っている。何を提供したのか、なぜそこまで成功したのか。その答えはサイト名にある――「マネー・セービング・エキスパート(節約専門家)」だ。このサイトには、節約のヒントがずらり。大半は数ペンスが浮く程度のアイデアだが、カネを節約して最大限に活用したいという欲求に、しっかり応えている。
さらに人気があるサイトといえば、ほとんどがSNSだ。これこそ、リアルかバーチャルかを問わず、他者と関係したいという欲求の現れ。だからといって、フェイスブックに負けないコミュニティをつくる必要はない。インターネットの素晴らしい点は、どれほどマニアックな趣味でも仲間が見つかること。ターゲット層を正確に定義し、彼らが持つ「関係の欲求」に的確に応えれば、トライブを作るチャンスが手に入る。
最後は、能力開発や学習への欲求だ。オンラインで受講できる公開講座は、教育のあり方に革命を起こし始めている。あなたのアイデアはスキルの開発や向上、新しい重要な知識の習得に貢献できるだろうか。
トライブを作って育てる
すべての人間関係と同じく、トライブを長続きさせるには努力がいる。現実世界であれオンラインであれ、必要なのは活動を率いる責任を担う覚悟。集まる場所を設定し、日時を連絡し、議論のテーマやコメントを更新する。こうしたタスクを果たさなければ、あなたのトライブは生き残れない。いちばん大切なのは「メンバーでよかった」と思ってもらうこと。活発な意見交換を促し、刺激的な問いを投げかけ、集まる場所に変化を持たせ、メンバーと「1対1」の関係を築き、意見を求め、もらった意見に感謝しよう。
トライブの作り方について、ある人材コンサルタントはこう話す。「6人ほどを同時に採用したことがある。このメンバーを最高のチームにしよう、共同体意識を育ててベストを引き出し合える関係を作り、社内で最も報酬が高いグループにしようと思った。自分たちを『Aチーム』と名づけ、月曜の夜は一緒にピザを食べに行き、時には家族を交えて週末を過ごした。チームのパフォーマンスは、1年ほどの間とはいえ素晴らしかった。相互協力と儀式のような行動を通じて、ものすごいパフォーマンスを達成していた」