最新記事

メディア

メディアをバッシングすることで人気を得るポピュリスト政治家

2016年11月21日(月)15時28分
Rio Nishiyama

ポピュリズムが席巻する時代のメディアの役割

 また、オーストリアの右翼系ポピュリスト政党の自由党に属するハインツ=クリスティアン・シュトラーヒェは、トランプ勝利をうけてFacebookでこう語った。


「反トランプを何週間もキャンペーンしつづけ、拙速にヒラリー・クリントン勝利を確信しつづけてきたオーストリアのメインストリームメディアは、いま一度、民意による投票で恥をかかされることになった」

 トランプの支持を早い段階から表明し、政権移行チームのメンバーにも選ばれたPaypal共同創業者であるピーター・ティールはこう語る


「トランプを支持した大衆とメディアの違いは、メディアはつねにトランプを『本質的に(seriously)』ではなく『表面的に(literally)』とらえていた、ということだ。トランプに投票した多くの人々は、トランプを表面的にではなく本質的に見ていた。だからトランプがムスリムに対する発言や壁を建設するといった発言をした時に、彼らが考えていたことは『トランプは本当に万里の長城のような壁をつくるのだろうか?』や『どのようにムスリムの入国禁止の実施をするのだろうか?』ではなく、『私たちはより意味のある、合理的な移民政策を取るのだ』ということだったのだ」

 このメディアの「スキャンダル化した報道」に対し、言葉尻を捉えるのではなく政治家の真意を汲むことが大切なのだ、という意見は、少なくとも今回の大統領選においては民意に刺さった、ということができる。

 一方で、このような「メディアの軽視・蔑視こそが、独裁者がまずはじめにすることだ」と警告する声もある。


「独裁者がまずはじめにすることのひとつは、メディアを軽視し、非正当化することだ。そして、それはトランプがいま、していることだ」

 今回の選挙は、メディアの公平性・中立性の問題を浮き彫りにしたと同時に、民主主義社会におけるメディア・政治家・そして投票行動によって示される民意の関係にも焦点を当てた。ジャーナリズムの役割や責任は、ポピュリズムが席巻する現代のような時代にこそ、いま一度考えなおされる必要がある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ADP民間雇用、12月は4.1万人増 予想下回る

ビジネス

米国やG7と連携、冷静・毅然に対応=中国輸出規制で

ビジネス

PEのクアンタム、ルクオイル海外資産に入札 シェブ

ビジネス

ユーロ圏消費者物価、12月2%に減速 ECB目標と
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    日本も他人事じゃない? デジタル先進国デンマークが「手紙配達」をやめた理由
  • 4
    「見ないで!」お風呂に閉じこもる姉妹...警告を無視…
  • 5
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 6
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 7
    「悪夢だ...」バリ島のホテルのトイレで「まさかの事…
  • 8
    若者の17%が就職できない?...中国の最新統計が示し…
  • 9
    衛星画像で見る「消し炭」の軍事施設...ベネズエラで…
  • 10
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 7
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 8
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 9
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 10
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中