成長するには「失敗」に必要以上の注意を向けないこと
振り返るのは短時間で切りあげる
レジリエンスを身につけるには、自分が失敗だと考えていることに向き合わなければいけないが、必要以上の注意を向けてはならない。失敗について考え直すとは、健全な反省が自責の念に変わるポイントを認識する行為だ。どこで反省が自己非難に変わるのかを見極めよう。だが一度だけ、それも短時間で切りあげよう。その場に立ち会っていた人がつき合ってくれれば理想的だ。そして、もし同じ状況に陥ったら今度はどうするかを3つだけ書く。実行できないことを延々とリストアップしても意味がない。
次に仕事で失敗したときも、その状況を見つめ直そう。自分を非難する感情は無視する。もっと入念に準備しようと思えばできたのは当然だ。だが成功した場合も、それは同じだ。なぜ目的を達成できなかったのか、何を改善できるのか、次はどんなアプローチを試すべきか。少し時間をとって、それらを手早く書き留めよう。そして、また前進しよう。
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自分が変えられることに意識を集中する
過去の行動を見つめ直すときは、失敗を糧に前進することに常に意識を集中してほしい。自分が変えられることは何かという観点だけで出来事を見つめ直すのだ。会議がうまくいかず、誰かを怒らせてしまったなら、できることはたくさんある。反対に、失敗して後退するとは、過去の選択と行動に執着することだ。過去に執着すると客観的になるのは難しいし、どれほど執着しようが、過去から現在に意識を切り替えるべきときはくる。
また、失敗を謝ることは、相手に対する共感と責任感を示すうえで重要な方法だが、何から何まで常に謝っていると御しやすい相手だと思われてしまう。会議での決断について自分と同僚がまったく異なる受け取り方をしていた場合、「すまない、誤解していたようだ」と言うのを怖がることはないが、あまりに深刻にとらえてはいけない。大切なのは、何かし忘れたことがなかったか、そして、同じことが起きたらまた同じ行動をとれるかどうかだ。どちらの問いに対しても答えが「ノー」なら前進しよう。意識を集中すべきは次の段階であって、謝罪ではない。
さまざまなことを試す
実験精神をもとう。「何事も実験だ」と考えるのは、人生に対する偉大なアプローチだ。実験しなければ、発見もない。実験とは、創造的に思考することでもあるが、なんといっても開かれた精神をもつということだ。偏見をもったり、何がうまくいくか、いかないかを決めつけたりしてはいけない。仕事で実験するときはほどほどにリスクをとり、出だしでつまずいたり失敗したりしても、それものちのち何かの役に立つと考えて歓迎しよう。
失敗(周囲の人の失敗も含めて)によって価値あることを学んだら、その失敗を大切にしよう。うまくいかなくても、ネガティブな考え方をしてはいけない。実験と失敗で「過ちを犯す」のは創造的思考に不可欠だ。新しいアイデアの背後には必ず、成果が出なかった挑戦の長いリストが存在する。失敗に意識を集中するなら、それを学びの経験として活用するのだ。だが、旅を台無しにしてはいけない。製品を市場に出して成功させるには、惜しくも不発に終わった何千もの製品を出した経験が必要だ。どんどん実験しよう。
※シリーズ第3回:管理職が陥る「自分なんて大したことない」症候群