最新記事

イギリス

【写真特集】ロンドンに潜むムスリム差別

2016年9月27日(火)17時40分
Photographs by Q.SAKAMAKI

イスラムの伝統衣装に身を包んだ女子学生たち。東ロンドンのタワーハムレッツ区には敬虔なイスラム教徒が多数暮らしている

<多文化共生を象徴する都市ロンドンでも、イスラム教徒への反感は根強い。欧州でテロが相次ぐ中、誤解を恐れて口を閉ざすムスリムの若者も多い>

 イスラム教徒のサディク・カーンが新市長に選ばれたことで「融合」の象徴として期待されるロンドン。だがそんな世界有数の多文化共生都市にも人種や民族間の軋轢はあり、なかでもイスラム教徒への反感は根深い。英社会に溶け込む努力を重ねるムスリムは多いが、黒ずくめの伝統衣装や髪を覆うヒジャブに抵抗感を持つ市民も少なくない。

 宗教的な対立が高まる背景には、英経済の低迷や失業率の増加がある。さらに再開発によって地価が高騰し、中流階級までが住む場所を追われる事態が多発していることも、市民の不安を高め、異文化への憎悪をあおる温床となっている。

【参考記事】トランプも黙らせたイスラム教徒、ロンドン新市長の実力

 そんな逆境のなか、ムスリムの人々、特に若者は本音を隠して生きようとしている。私がロンドンで出会った10代半ばの少女たちは、学校でパリとブリュッセルのテロ事件について議論した際に口をつぐんでいたという。非ムスリムの生徒が大半を占める環境では、何を言っても誤解を招くと恐れたのだ。

 ムスリムの市長が誕生しても、ロンドンに真の多様性が浸透し、差別される不安が消え去る日は簡単には訪れそうにない。


ppmuslim02.jpg

ソマリ・イブラヒム(30)はイギリス生まれだがムスリムであることを誇りに思っているという


ppmuslim03.jpg

英女王の人形の前を通り過ぎるムスリム女性

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル軍がガザ全土を攻撃、少なくとも17人死亡

ワールド

韓国に大雪、5人死亡 首都圏で40センチ超積雪

ワールド

OPECプラス、生産政策会合を12月5日に延期

ワールド

インド議会、財閥アダニ巡る混乱収まらず 野党が疑惑
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老けない食べ方の科学
特集:老けない食べ方の科学
2024年12月 3日号(11/26発売)

脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす──最新研究に学ぶ「最強の食事法」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式トレーニング「ラッキング」とは何か?
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    「時間制限食(TRE)」で脂肪はラクに落ちる...血糖値改善の可能性も【最新研究】
  • 4
    黒煙が夜空にとめどなく...ロシアのミサイル工場がウ…
  • 5
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 6
    「健康寿命」を2歳伸ばす...日本生命が7万人の全役員…
  • 7
    「健康食材」サーモンがさほど健康的ではない可能性.…
  • 8
    バルト海の海底ケーブル切断は中国船の破壊工作か
  • 9
    谷間が丸出し、下は穿かず? 母になったヘイリー・ビ…
  • 10
    未婚化・少子化の裏で進行する、「持てる者」と「持…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 7
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式ト…
  • 10
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中