2つの難民サミット、世界にまだできること
Dimitris Michalakis-REUTERS
<今世界は大きな分岐点にある。協力して問題を解決するか、世界に背を向けるか。もし協力するなら、難民危機をチャンスに変えることもできる> (写真は、命懸けでトルコからギリシャに渡った難民)
今、世界政治の中心に不穏なヒビが入っている。世界はかつてないほど繋がり合っているのに、グローバル化を管理するためのメカニズムや手法がまだ追いついていない。案の定、グローバル化に反感を抱く人々が苛立ちや疲れ、恐れを募らせている。
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その最たる例が難民危機だ。2015年に紛争や迫害、人権侵害のために避難を強いられた難民は6500万人で、2014年と比べて580万人増加した。
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国連の統計によると、2014年に出身国へ戻ることができた難民は全体の1%にも満たず、避難生活は一人当たり平均17年まで延びた。国連は2015年、人道ニーズを解消するため過去最大級の200億ドルに上る資金提供を呼びかけたが、最終的には目標の45%が不足するという過去最悪の事態に陥った。
難民や受け入れ国の間では、落胆が広がりつつある。世界最大規模の難民を受け入れるトルコやケニアをはじめ、ここ数年で主にシリアとイラクから大量の難民を受け入れてきたドイツやスウェーデンなどでも、難民の受け入れに対する懸念の声が上がっている。
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逃げるか団結するか
1980年代に急速に進んだオゾン層の破壊や90年代のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争などを振り返れば、人類が危機に直面したときには、2種類の反応が出ることが分かる。1つ目は、問題が手に余るとして関与や責任から逃れようとする反応。もう1つは、すべての国が一致団結しなければ有効な対策は打てないという認識で世界が一致するパターンだ。難民危機は今まさに、どちらを選ぶかの岐路に立たされている。
国境を閉鎖して難民や移民を強制送還しようという圧力が高まれば、悪徳な密航仲介業者を利するだけだ。一部の政治家は、難民をテロリストと同じように扱うことで人々の恐怖心を煽り、難民と住民を敵対させている。この危険なサイクルを直ちに食い止めなければならない。
今週ニューヨークで開催される2つのサミットは、難民問題を前進させるチャンスだ。1つ目は、国連の潘基文(バン・キムン)事務総長が19日に国連本部で主催する「難民・移民に関する国連サミット」、もう1つは翌20日にバラク・オバマ米大統領の呼びかけで開催される「難民に関するリーダーズ・サミット」だ。