2つの難民サミット、世界にまだできること
潘基文主催のサミットの目的は、最大の難民受け入れ国を支援し、各国が責任や負担をより公平に分担し、難民や移民の受け入れに関する新しい国際的な原則を確立することだ。先月国連が発表した「ニューヨーク宣言」の草案からは、難民支援に向けて各国が責任を共有できる意義のある変革をもたらすというより、すでに合意された原則の繰り返しに過ぎないという印象を受けた。実際にそうならがっかりだ。膨大な数の難民を抱える最中に、国際社会として具体策に欠ける単調な共同声明を発表して終わりというのでは許されない。各国が難民問題に対する責任を共有し、実行力のある関与を強めることが必要だ。
もし国連のサミットが期待外れに終われば、バラク・オバマの「難民に関するリーダーズ・サミット」の重要性が一層高まる。こちらのサミットの主要目的は、難民問題の解決に向けて各国に拠出金や受け入れ数の増加を求めるのと同時に、受け入れ国側でも難民のための雇用や教育の機会を創出することだ。アメリカがお手本となってグローバルな人道支援への関与を広めるチャンスだが、参加各国は会期中も終了後も一貫して、以下の3つの課題に取り組まなければならない。
2級市民扱いをするな
第1に、難民の受け入れ国に対する支援の在り方を大変革すること。難民の出身国のうち約85%は経済協力開発機構(OECD)に加盟していないような貧しい国々だ。潘基文は今年になって、「各国政府や地域コミュニティー、民間部門や援助機関が協力して、危機的状況に置かれた人々のために取り組む新しい支援モデル」を提唱した。難民の受け入れ国は、難民に安全で尊厳ある生活環境を提供するために、より多くの資金や援助を必要としている。
第2に、支援国は難民の自立を支援しなければならない。難民キャンプの住人たちは、誰かの世話にならなければ生きられないという罠に落ちた永遠の2級市民のような気持ちでいる。世界銀行の試算では、レバノンのシリア難民が1%増えるごとに、レバノンのサービス輸出は1.5%増えるという。つまり、難民受け入れの恩恵をフルに享受するためには、難民に働く機会を与えなければならないのだ。雇用創出の上で指導的な役割を果たすべきは、世界銀行や民間セクターだ。