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リオ五輪ドーピング防止には「生体パスポート」しかない
IOC は内部告発をしたステパノワを切り捨てた Michael Kooren-REUTERS
<世界ランキング元1位、伝説のゴルファー、グレッグ・ノーマンが、アスリートの立場からドーピング疑惑の選手と戦いたくない、まして負けたくない気持ちを代弁>
先週初め、国際オリンピック委員会(IOC)がリオデジャネイロ五輪からのロシア選手の全面排除を回避した見送ったというニュースが飛び込んできた。ロシア選手出場の可否は、それぞれ各種目の国際競技団体の判断に委ねられることになった。
IOCの決定は総じて不評だが、個人的にはその判断を理解できる。国が関与したドーピングの責任をロシア選手全員に負わせるのは過酷過ぎる。処分を受けるべきなのは禁止薬物に手を染めた個々の選手であり、ロシアの選手全員ではない。
とはいえ、ロシアで組織的なドーピングが行われていたのも事実。ロシア陸上女子中距離のユリア・ステパノワの勇気ある内部告発を機に実態が明らかになった。だが今回のIOCの決定はいっそうの内部告発を奨励するものではなく、逆に萎縮させる。自身も違反歴があるという理由でステパノワも出場できないことになったからだ。国際陸連では出場停止処分も解け、試合にも復帰しているのに。
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各競技団体は、スポーツとオリンピックの健全性を守るため、断固とした決断を下さなければならない。不正やドーピング違反などスポーツの規律を破った選手は一切容赦せず、永久追放にすべきだ。
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クリーンな選手は、極限のレベルで競技に挑むために人生を捧げている。それなのに五輪でロシア選手と同じスタートラインに立たなければならないのははらわたが煮えくり返る思いだろう。もしメダル争いでドーピング疑惑のある選手に敗れたりすれば、その衝撃は想像を絶する。
記録は高校から引退まで
ドーピング防止策として今後は、「生体パスポート」を強く推奨する。選手の潔白を証明する唯一の方法だ。生体パスポートは、従来のように検査で体内から禁止物質が検出されるか否かで判断するのではなく、スポーツ選手の身体の生理学的な変化を継続的に観察することでドーピングを検知する方法だ。
反ドーピングに向けた取組みに変革をもたらす可能性を秘めた生体パスポートを、これからは世界中で高校レベルから採用し、アマチュアやプロのスポーツ選手が引退するまで記録を蓄積し続けるべきだ。そうすれば、ドーピング違反に対する観察や検査体制を確立し、一度でも不正やドーピング違反が発覚した選手には永久追放の処分を下す厳しい方針を貫くことができる。
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IOCはオリンピック発祥の地ギリシャのオリンピアに立ち返り、古代の慣習から学ぶべきだ。古代ギリシャでは、不正を行った選手は多額の罰金を課せられたうえ、罰金を元手に立てたゼウス像に、見せしめとして選手の名前と不正行為の内容が刻まれた。現代なら、そこに選手の出身国も刻まれるべきだろう。