最新記事

中国経済

中国が爆買いで内需喚起、海南島を免税天国に

2016年6月1日(水)19時25分

5月30日、国内の消費や観光の活性化を狙う中国政府は、ミラノやソウルで「爆買い」する国民に中国国内で散財してもらうよう知恵を絞っている。写真は、「免税買い物天国」の海南島でショッピングを楽しむ中国人たち。11日撮影(2016年 ロイター/Farah Master)

 国内の消費や観光の活性化を狙う中国政府は、ミラノやソウルで「爆買い」する国民に中国国内で散財してもらうよう知恵を絞っている。そこで誕生したのが、中国の最南端にある海南島の「免税買い物天国」だ。

  海南島では2月、免税品の買い物に関する規制が緩和された。世界最大のデューティーフリーショッピングセンターを擁する中国国旅(CITS)<601888.SS>などの企業は、これを追い風に業績を伸ばしており、HNAグループ[HNAIRC.UL]では売上高が160%急増した。

 中国では高級品の売り上げが昨年2%減少した。専門家は、官僚の汚職に対する取り締まり強化や経済成長率の鈍化が原因だと指摘する。

 一方、ベイン・コンサルタンシーの試算によると、中国人はパリやロンドン、東京など海外都市で高級品の80%近くを購入している。

 HSBCのアナリスト、エルワン・ランブール氏は「バーバリーであれリシュモンであれ、多くのブランドは高級品の将来が中国人、それも中国国内の中国人にかかっていることを認識している」と述べた。

免税品買い物の規制緩和

 海南島では2011年以降、観光業促進に向けた試験プログラムの下で、免税店は中国本土よりも最大で30%安く商品を販売している。

 これまでの規制によると、免税品の買い物は年2回、毎回8000元(1220ドル)が限度とされていた。それが規制緩和の結果、今年2月1日からは、年間の購入額が合計1万6000元以内であれば、買い物の回数に制限はなくなった。また、免税店が商品をオンラインで販売し、旅行者が空港で商品を受け取るという形態も可能になった。

 海南島の三亜市では、中国国旅が2014年、中国初の免税ショッピングセンターを開店。サッカー場9つ分とされる巨大なセンターでは、バーバリー・グループやフィナンシエール・リシュモンなど300を超えるブランドに加えて、粉ミルクなども扱う。

 ただ、ショッピングセンターでハンドバッグを物色していた20代のある買い物客は「すごく安いけど、品揃えには難がある」と話した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

野村HD、「調査の事実ない」 インド債券部門巡る報

ワールド

韓国、北朝鮮に軍事境界線に関する協議を提案 衝突リ

ワールド

バングラデシュのハシナ前首相に死刑判決、昨年のデモ

ワールド

中国、G20での高市首相との会談拒否 台湾発言を問
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 3
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地「芦屋・六麓荘」でいま何が起こっているか
  • 4
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 5
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 8
    レアアースを武器にした中国...実は米国への依存度が…
  • 9
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 10
    反ワクチンのカリスマを追放し、豊田真由子を抜擢...…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中