フェイスブックのAIエンジンで16億人が丸裸に
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<人工知能搭載の解析エンジン「ディープ・テキスト」がフェイスブック上のやりとりを隈なく分析し尽くす>
フェイスブックは今月、人工知能(AI)をベースにした最新の文章理解エンジン「ディープ・テキスト」を発表した。ディープラーニング(深層学習)と呼ばれる技術をコンピューターに取り入れ、人間の言語を高度に理解する仕組み。これによりフェイスブックのサービスが何段階も飛躍する可能性がある。
例えば「メッセンジャー」のアシスタント機能なら、人間同士のコミュニケーションに近くなる。タクシーに乗るシーンを考えてみよう。ディープ・テキストが搭載されれば、ユーザーがタクシーを呼びたいのか、ちょうど降りたところなのか、アシスタント側がそういった状況まで理解できるようになるはずだ。タクシーを呼ぶ程度のことは、難なくこなすだろう。
スパムや誹謗中傷のコメントを削除したり、画像付きで何かを売ろうとするユーザーを特定したりすることも自動処理できるはずだ。
とはいえこの技術の威力が最大限に発揮されるのは、同社が開発中の新たな情報配信プログラムなのは間違いない。フェイスブック上のあらゆるトピックや投稿からユーザーの属性情報を把握して蓄積し、ターゲットを絞り込んでニュースや広告を表示するという構想だ。
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もちろん文章を読み解くソフトはこれが初めてではない。しかし、これまでの言語処理ソフトは曖昧な表現やスラングの解読が苦手で用途がかなり限定されていた。
フェイスブックは、コンピューターがいずれ人間の日常的な「自然な言語」を理解できるようになると考えている。当然、英語以外にも対応できるという。
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「ディープ・テキストは言語理解の分野で大きな飛躍を遂げた」と、フェイスブックの応用マシン学習チームの責任者フセイン・メハナは言う。彼はディープ・テキストがトレンドの最前線に立っていると信じている。
ディープ・テキストはフェイスブック上の画像とテキストを同時に解析する。例えばユーザーが赤ん坊の画像を「25日目」というキャプションを付けてアップしたとする。ディープ・テキストは、画像がユーザーの子供で、毎日のようにアップされるものの1つだと推測する。
つまりディープ・テキストは赤ん坊の投稿を「家族ニュース」といったトピックに振り分け、かつて同じような投稿に興味を示した友人に自動的に送ることが可能、というわけだ。