最新記事

インタビュー

オフィスのウェルビーイングはすぐ始められる!

2016年5月27日(金)16時27分
WORKSIGHT

wsIshikawa_2.jpg

ワーカーが肝に銘じたいマザー・テレサの言葉"If you judge people, you have no time to love them"

 日本の就労環境は厳しさを増しています。上司は部下の強みや弱みを見るし、逆もそうですよね。上司のことを、使える、使えないといった視点で見ている人は少なくありません。この傾向はバブル経済の崩壊以降に顕著になった気がします。人の悪いところを見つけて不平不満を言うというふうに日本の企業文化が変わってきている感じがする。

 マザー・テレサは"If you judge people, you have no time to love them"と言いました。もしあなたが人をジャッジするなら、その人を愛する時間はなくなりますよ、と。その通りだと思います。

 実は僕自身、この言葉を贈られたことがあるんです。留学から帰ってきて、自分は最先端を行っているんだ、みんな間違っていてバカだぜ、なんて勘違いしていたんですよね。非常にジャッジな人間だったんです。6年前、28歳ぐらいのときでしたか。でも、誕生日にこの言葉を贈ってくれた人がいて、ハッと気付いたんです。他人をジャッジしても、まず自分が楽しくないし、なんで自分のことを分かってもらえないんだろうと不満が募るばかりで、人生が全然ポジティブじゃない。それで人をジャッジするのはやめよう、相手のいいところを見て付き合おうと決めたら、人間関係がガラッと変わって、仕事の仕方も変わりました。

 昔の日本企業は家族経営的なところがあって、社内の人間関係に信頼があったわけですね。ご縁があって今ここで一緒に働くんだから、上司も部下も同僚も相手の長所を見て気持ちよく働こうよという価値観が風土として根付いていた。つまり、ウェルビーイングの基盤ともいえるポジティブな人間関係が組織に醸成されていたわけです。ドラッカーはそれが日本企業の強さだと分析していました。

 でも今は相手をジャッジする雰囲気に変わってしまっている。あいつは使えるとか使えないとか、そういう発言や思いを意識的に控えるだけで、もっとウェルビーイングに毎日が生きられるはずなんです。人間関係が改善すれば職場のうつも減っていくと思います。

部下がスターになれる舞台を作るのが上司の役目

 これは別に組織に必要以上にコミットしようとか、企業は家族主義的経営に回帰すべきだという話ではありません。そもそも今の若手の社員は組織にコミットしたいと思っていないでしょう。組織よりテーマにコミットしたいと思っている。

 例えば、エンジニアは仕事中に同業者のオンラインのコミュニティやチャットにずっとつながっていたりします。そこは学びの学校なんですね。「今、あるプログラムの書き方で困っている。どうしたらいいですか」と尋ねると、別の会社のエンジニアが解決策を伝授してくれるわけです。***

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、プーチン氏との首脳会談中止 交渉停滞に

ビジネス

米IBMの第3四半期決算、クラウド部門の成長鈍化 

ワールド

北朝鮮、22日のミサイル発射実験は成功=KCNA

ワールド

トランプ氏、中国主席との貿易合意に期待 ロシア産原
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺している動物は?
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 6
    汚物をまき散らすトランプに『トップガン』のミュー…
  • 7
    国立大卒業生の外資への就職、その背景にある日本の…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 9
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 10
    やっぱり王様になりたい!ホワイトハウスの一部を破…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 6
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 9
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 10
    TWICEがデビュー10周年 新作で再認識する揺るぎない…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中