オフィスのウェルビーイングはすぐ始められる!
ワーカーが肝に銘じたいマザー・テレサの言葉"If you judge people, you have no time to love them"
日本の就労環境は厳しさを増しています。上司は部下の強みや弱みを見るし、逆もそうですよね。上司のことを、使える、使えないといった視点で見ている人は少なくありません。この傾向はバブル経済の崩壊以降に顕著になった気がします。人の悪いところを見つけて不平不満を言うというふうに日本の企業文化が変わってきている感じがする。
マザー・テレサは"If you judge people, you have no time to love them"と言いました。もしあなたが人をジャッジするなら、その人を愛する時間はなくなりますよ、と。その通りだと思います。
実は僕自身、この言葉を贈られたことがあるんです。留学から帰ってきて、自分は最先端を行っているんだ、みんな間違っていてバカだぜ、なんて勘違いしていたんですよね。非常にジャッジな人間だったんです。6年前、28歳ぐらいのときでしたか。でも、誕生日にこの言葉を贈ってくれた人がいて、ハッと気付いたんです。他人をジャッジしても、まず自分が楽しくないし、なんで自分のことを分かってもらえないんだろうと不満が募るばかりで、人生が全然ポジティブじゃない。それで人をジャッジするのはやめよう、相手のいいところを見て付き合おうと決めたら、人間関係がガラッと変わって、仕事の仕方も変わりました。
昔の日本企業は家族経営的なところがあって、社内の人間関係に信頼があったわけですね。ご縁があって今ここで一緒に働くんだから、上司も部下も同僚も相手の長所を見て気持ちよく働こうよという価値観が風土として根付いていた。つまり、ウェルビーイングの基盤ともいえるポジティブな人間関係が組織に醸成されていたわけです。ドラッカーはそれが日本企業の強さだと分析していました。
でも今は相手をジャッジする雰囲気に変わってしまっている。あいつは使えるとか使えないとか、そういう発言や思いを意識的に控えるだけで、もっとウェルビーイングに毎日が生きられるはずなんです。人間関係が改善すれば職場のうつも減っていくと思います。
部下がスターになれる舞台を作るのが上司の役目
これは別に組織に必要以上にコミットしようとか、企業は家族主義的経営に回帰すべきだという話ではありません。そもそも今の若手の社員は組織にコミットしたいと思っていないでしょう。組織よりテーマにコミットしたいと思っている。
例えば、エンジニアは仕事中に同業者のオンラインのコミュニティやチャットにずっとつながっていたりします。そこは学びの学校なんですね。「今、あるプログラムの書き方で困っている。どうしたらいいですか」と尋ねると、別の会社のエンジニアが解決策を伝授してくれるわけです。***