最新記事

キャリア

キャリアを左右する「職場プロフィール」とは何か

2016年5月12日(木)20時34分

 自分のプロフィールを考えるには、自分に次のような質問をしてみよう。

・この先、多少とも自分を犠牲にすることを厭わないか。
・キャリアで個人的なリスクを冒すことを厭わないか。
・重大な責任を負う気はあるか。
・人に指図したり、管理することが得意か。
・権限のあるポストに昇格するために必要な人間関係を育む努力をする気があるか。いわゆる社内政治に大きくかかわる気は?
・挫折に前向きに対処できるか。
・人を管理できるか。その権限を、指名した相手に委譲できるか。
・他人から指示されて仕事をするほうがいいか。それともコンセプトを打ち立て、それを個別のタスクに落とし込んでプロジェクトを実行したいか。
・権威を疑うことが好きか。
・いつも相手の言うことに異を唱えたり、提案にケチをつけようとしていないか。

◇ ◇ ◇

 さて、自分がどのプロフィールに当てはまるか、わかっただろうか?

 5種類の職場プロフィールについて簡潔に説明すると、まず「有能な兵士」は「命令に従い、職務をいつも的確に、時間どおりに遂行するタイプ」だ。上司からも同輩からも高く評価されるが、「他を圧倒するようなスーパースターとは見られていない」。不況期にぴったりの人材だと、ハリスは分類する。

 一方、「イエスマン」は「どのような状況でも、権限のある人に必ず同意するタイプ」。「とてもリスクが低く、安全性が高い。およそどんな職場でも平社員から中間管理職レベルまで出世できるが、仕事での成長は何を指示されたかに左右されるだろう」と、ハリスは言う。それに対し、「反対屋」は「いつも他人の意見にケチをつけるタイプ」ではあるが、「技術系の企業のように、イノベーションを第一とする職場」では重宝される。

「堅実な働き手」は、いわば「有能な兵士の若手バージョン」だ。高く評価されるが、実行力だけでなく戦略的な問題解決能力も示さなければ、昇進の第一候補者にはなれない。そして「チーフ」は、「強烈なビジョンと強力なマネジメントスキル、際立つ実行力を持ち、他人のやる気を引き出し、いかなる経済状況でも組織を前進させる力のあるタイプ」。どんな経済状況でも活躍すると、ハリスは言う。

 ハリスによれば、どのプロフィールの人物が活躍するかは「経済状況と職場のリーダーの質」に左右されるという。「有能な兵士」でなければ昇進できないわけではないし、万能に思える「チーフ」を評価しないリーダーもいるのだ。また、どのタイプであっても、すぐれたリーダーになることができると、ハリスは解説する。

 あなたはどういう人間か。「最強のキャリア戦略」には、自分をよく知り、それを職場で表現することが欠かせない。

※シリーズ第1回:「5年を1単位」としてキャリアプランを考えよ
※シリーズ第2回:能力が低いから昇進できない、という人はめったにいない


『モルガン・スタンレー 最強のキャリア戦略』
 カーラ・ハリス 著
 堀内久美子 訳
 CCCメディアハウス


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

タイ首相、カンボジアとの戦闘継続を表明

ワールド

ベラルーシ、平和賞受賞者や邦人ら123人釈放 米が

ワールド

アングル:ブラジルのコーヒー農家、気候変動でロブス

ワールド

アングル:ファッション業界に巣食う中国犯罪組織が抗
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 5
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 6
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 7
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    「体が資本」を企業文化に──100年企業・尾崎建設が挑…
  • 10
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中