パナマ文書、巨大リークを専売化するメディア
以下は先月、私がニューリパブリック誌に書いた記事からの引用だ。まだパナマ文書がニュースになる前のことだ。パナマ文書は、大きなトレンドの一部に過ぎない。
アカデミー賞作品賞を受賞した映画『スポットライト 世紀のスクープ』の舞台は2001年ごろで、多くの登場人物が紙の書類を読んでいる。今の我々の問題は、この当時とはまるで別物だ。データはどこからでも入手可能。そこでメディアは、巨大なデータを大衆のために翻訳するという新しい役割を担うことになる。寄付で調査報道を行うNPOメディアのプロパブリカはその一例だ。彼らは、他のいくつかのメディアと共同で「ドキュメントクラウド」というプロジェクトを推進している。PDFファイルの山を検索しやすくする技術を開発するのが目的だ。
巨大なリーク情報は、あまりに退屈で難解なので一般の人は避けて通りがちだ。アシュレイ・マディソンのように興味深い顧客データベースでさえもだ。私はダウンロードしてみたが、よくわからないデータばかりで本当に退屈だった。
元CIA職員のエドワード・スノーデンやウィキリークスの例を挙げるまでもなく、我々はグローバルな巨大リークがあり得る新しい世界に住んでいる。そこでは、そうしたデータを吟味して加工し、利用可能な形にして、残りは一般人の手の届かないところに保管するのが事実上メディアの仕事だ。大衆でも理解できるような形にリークを加工し、どのリークが公開できるかを決めるのは2010年代のメディアの新たな責任ともいえる。そうした特権の代わり、メディアは訴訟リスクを負いながら複雑なデータと格闘する。
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パナマ文書が流出したモサック・フォンセカ法律事務所の内部には、潜在的に腐敗した未完の世界経済があった。メディアは地図を完成させ、その結果を少しずつ小出しにして人々の関心を長引かせることで利益を最大化する。
今回姿を表した「リーク・ジャーナリズム」の同盟は、世界の人々の利益にかなっているのだろうか。パナマ文書プロジェクトを率いた国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)はそう思って欲しいだろう。
確信のある答えはない。なぜなら、私もパナマ文書の生データにアクセスできないからだ。アクセスできるのは世界でもほんの数百人の人間だろう。従って、パナマ文書がジャーナリストにとってではなく我々にとって何を意味するかがわかるまでには、まだ長い時間がかかることになる。
This article was originally published on the Track Changes site.
Paul Ford is co-founder of Postlight and a contributing editor at the New Republic.