最新記事

テロ

ブリュッセルが鳴らすサイバーテロへの警鐘

2016年4月6日(水)13時00分
山田敏弘(ジャーナリスト)

 さらにこの7人は2011~13年にかけて民間の金融機関に対してサイバー攻撃も行っている。電子メールなど大量のデータを送りつける「DDos攻撃(分散サービス不能攻撃)」を継続して行い、46の金融機関などの業務を妨害している。口座へのアクセスもできなくなり、経済活動にも支障を与えた。こうした金融インフラへのサイバー攻撃は、これまでも世界各地で前例がある。

 ちなみに最近、イランはサイバー攻撃能力を急速に高めていると言われる。2012年にはイスラム国家としてライバル関係にあるサウジアラビアの国営石油企業に大規模なサイバー攻撃を仕掛けたこともある。

 ウクライナでも最近、インフラを狙った深刻なサイバー攻撃が起きた。2015年12月23日、ウクライナ国内で6時間にわたり、サイバー攻撃による停電が発生した。いくつかの電力供給会社が攻撃を受け、ブレーカー装置が不正操作された。ハッカーは事前にかなり周到に監視や侵入行為を行い、サイバー攻撃の準備をしていたとみられる。この停電で、22万5000人に被害が及んだ。ハッカーは依然として判明していないが、米エネルギー庁関係者はメディアに対して、ロシアからの攻撃だとの見方を示している。

 ロシアは、各地のインフラにサイバー攻撃を行っている国として悪名高い。2008年には中東で米軍システムに侵入しているし、トルコの石油パイプラインをサイバー攻撃で破壊したこともある。

 言うまでもなく、中国や北朝鮮も、頻繁に欧米各国にサイバー攻撃を仕掛けている国として知られる。例えば中国は、アメリカの原発や鉄鋼関連企業をサイバー攻撃したことで、人民解放軍のサイバー部隊「61398部隊」の将校5人が米政府から起訴されているし、カナダでも電力会社などにサイバー攻撃を行ったことが明らかになっている。北朝鮮は、米ソニー・ピクチャーズに大規模なサイバー攻撃を仕掛けて大きな損害を与えた。エンターテインメントインフラへの攻撃だ。こうした例は氷山の一角だと言っていい。

【参考記事】北の「ドローン部隊」「サイバー部隊」が韓国を襲う可能性

 欧米ではこうしたインフラへの攻撃を、「サイバー・パールハーバー(サイバー真珠湾攻撃)」と呼ぶ専門家もいる。前触れなくサイバー空間から先制攻撃を行って、国家に多大な打撃を与えられるからだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ブロードコム、供給制約を指摘 「TSMCの生産能力

ビジネス

金価格が10日続落、ドル高や米利下げ期待後退で

ワールド

政府、石油の国家備蓄放出26日に開始 産油国共同備

ワールド

食料品の消費税ゼロ、中長期的な予想物価への影響小さ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 2
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 3
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」した──イスラエル首相
  • 4
    「胸元を強調しすぎ...」 米セレブ、「目のやり場に…
  • 5
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下…
  • 6
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 7
    スウェーデン次期女王ヴィクトリア皇太子、陸軍訓練…
  • 8
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 9
    「買ったら高いじゃん?」アカデミー賞会場のゴミ箱…
  • 10
    「カメラの目の前」で起きた爆発の瞬間...取材中の記…
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 9
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 10
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中