中国の国防専門家「第3次世界大戦に備えろ」
南シナ海と東シナ海における領有権問題が戦争にエスカレートする可能性が高いと国防大の教授が予想
くすぶる火種 フィリピンと領有権を争う南沙諸島のセカンド・トーマス礁に現われた中国の海洋監視船 Erik De Castro-Reuters
第3次世界大戦は起こり得る──中国国防大学の教授がそう予言し、中国はそれに備えるべきだと主張している。韓旭東(ハン・シュイトン)教授は共産党機関誌人民日報系のタブロイド紙「環球時報」に寄稿した論説で、多くの国々が「新たな形態の地球規模の戦争の時代」に突入しつつあると論じた。
これまで紛争の対象にならなかった宇宙とサイバースペース及び海洋の領有権をめぐって、各国がしのぎを削る状況になっていると、韓は論じている。こうした紛争には「未曾有の数の国々が絡んでいる」という。
いま揉めている海洋の領有権問題は最終的には世界大戦にエスカレートすると、韓は指摘する。「世界中の海域における領有権問題を見ると、北極海、太平洋、インド洋における覇権争いが最も熾烈だ。海洋権をめぐって第3次世界大戦が起きる可能性は大いにある」
中国は目下、海洋の領有権問題で複数の国々と揉めている。特に南シナ海では、中国が領有権を主張する海域に対して、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、台湾、マレーシアもぞれぞれ領有権を主張している。東シナ海では、中国は周辺に豊富な資源が眠る尖閣諸島(中国名・釣魚島)を固有の領土と主張。一方、日本はこの島々が自国の領海内にあるとしている。
尖閣諸島などで軍事的プレゼンスを高め、政治的レトリックをもてあそぶなど、このところ中国は強硬姿勢を強める一方だ。そうした姿勢を見て、中国は海洋上の覇権拡大のためには軍事力の行使も辞さないだろうと、一部のオブザーバーは予測している。
「海洋での権益争いの激化に伴い、中国は領土権の防衛から領海権の防衛へと重点をシフトして、軍備拡大を進めるべき状況になっている」と、韓は訴える。さらに、アジア太平洋地域へと軸足を移しつつあるアメリカをはじめ、軍事大国が中国を「守勢に追いやる」可能性があるとして、それを防ぐために「強大な軍事力」が必要だとも述べている。