最新記事

ペット

韓国が輸出する超小型犬の悲劇

2014年8月6日(水)12時01分
ジェフリー・ケイン

買い手が付かず食肉に?

 子犬が厳しい状況にさらされているからといって、韓国からティーカップ犬を輸入してリッチな客にプレミア価格で売る商売を、アメリカの業者が思いとどまるわけではない。韓国のティーカップ犬ビジネスは、既にアメリカの一歩先を行く一大産業だ。

 彼らは小さくて毛並みの良い縫いぐるみのような犬を量産する技術にたけている。この手の犬は、人口密度が高くて多くの人がアパート暮らしをする韓国の都市部で大人気だ。

 こうした土地柄に加え、「韓国では見た目のいい犬が好まれる傾向にある」とセオは言う。韓国のある獣医師は、同国のペット産業にとって画期的な特別な餌を開発したと発表した。彼によれば、この餌を使って育てた子犬は生後9カ月でたった550グラム。成犬になってもわずか600グラム程度になるだろうと断言している。本当ならギネスブックの世界最小記録より小さい。

 一方で、月齢が進んでいて小さく育てるには既に手遅れになった犬や、幼いうちに買い手が見つからなかった犬は、犬肉を取り扱う業者に引き渡される恐れがあると、KARAは指摘する。まだ貧しかった数十年前の韓国に広く普及していた犬肉料理は、現代の若者には不評ながら、特定のレストランではまだ扱われている。

 ティーカップ犬の輸入に関しては、アメリカの法規制はあまり役に立っていないようだ。生後半年以内の輸入犬を販売することは禁じられているが、実際には堂々と売られている。農務省が法に基づいて取り締まりを強化していないためだ。

 司法記録によれば、ティンカーベルを売ったアンダーソンは飼い主からの訴えで少なくとも過去に5回は司法当局の調査を受けている。それでも彼女は何食わぬ様子で2つの会社名を使い分けて複数の州で子犬を販売。そのウェブサイトによれば、顧客にはパリス・ヒルトンの母キャシーや世界の王族などセレブが名を連ねている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

石油・ガスは今後も重要、燃料としてではない可能性も

ワールド

米感謝祭前の旅客便、政府閉鎖で「ごくわずか」に=米

ビジネス

カナダ、10月雇用が予想外に増加 トランプ関税に苦

ワールド

米国務長官と会談の用意ある、核心的条件は放棄せず=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 2
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一撃」は、キケの一言から生まれた
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    「非人間的な人形」...数十回の整形手術を公表し、「…
  • 9
    「爆発の瞬間、炎の中に消えた」...UPS機墜落映像が…
  • 10
    「豊尻」施術を無資格で行っていた「お尻レディ」に1…
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 7
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 8
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 9
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 10
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中