最新記事

フランス

「進撃の極右」が映し出すもの

2014年6月12日(木)13時55分
ポール・エイムズ

 ルペンの経済政策は、与党には十分な攻撃材料になるはずだ。ただオランドとマニュエル・バルス首相を悩ますのは、多くの国民はもちろん、社会党員までがルペンの見方の少なくとも一部に共感している点だ。フランスの苦しみはEUに押し付けられた自由貿易と緊縮財政のせいであり、これを打開するには保護主義と財政出動が必要だという見方が強い。

 4月には、社会党議員41人が政府の500億ユーロの歳出削減案の議会投票を棄権した。10年にはGDP比82%だった公的債務が昨年は93%に上昇した、これを抑制するために必要な削減だとバルスは訴え、ようやく僅差で可決した。

「右派もしのぐようなオランドの公共支出削減計画は、社会党支持者には侮辱でしかない」と、オランド批判に回ったパスカル・シェルキ議員は言う。「彼らが私たちに背を向けても驚かない。冷たい怒りや憎しみさえ沸き上がるのを感じる。大統領と首相は、左派の市民を大切にしなくてはならないのに」

 オランドの支持率は、大統領就任時の55%からこの2年で18%に急降下した。非難の矛先は何よりも、失業率を抑えるという公約を果たせないことに向けられている。EUの要求に沿って財政赤字削減と増税を進めているが、企業寄りのささやかな改革さえ雇用安定や週35時間労働制などの権利が脅かされると、支持者の怒りを買っている。

17年大統領選に勝機は

 バルスは社会党が統一地方選で惨敗した後の3月、首相に任命された。彼の使命は、17年の大統領選までに政府の運命を好転させることだ。

 前内相のバルスは、押しの強いことで知られている。オランドとは09年に大統領候補の座を争ったが、大統領選ではオランド陣営に加わった。

 フランス政界では大統領がバットマン、首相が補佐役のロビンのような役割を果たす。だがメディアはバルスを「共同大統領」扱いしている。バルス個人の人気はオランドを上回り、ジュルナル・デュ・ディマンシュ紙の4月中旬の調査では56%の支持率を獲得した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国自動車輸出、3月73.7%増 国内販売は6カ月

ビジネス

米事業の上場タイミング、あくまで価値に基づいて判断

ワールド

米イラン停戦合意、先行き非常に不透明=小林自民政調

ワールド

中東情勢収束のめど立たず、今期業績予想修正へ=商船
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 2
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで代用した少女たちから10年、アジア初の普遍的支援へ
  • 3
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライナ軍司令官 ロシア軍「⁠春の​攻勢」は継続
  • 4
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 5
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 6
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの…
  • 7
    高学力の男女で見ても、日本の男女の年収格差は世界…
  • 8
    戸建てシフトで激変する住宅市場
  • 9
    キッチンスポンジ使用の思いがけない環境負荷...マイ…
  • 10
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで代用した少女たちから10年、アジア初の普遍的支援へ
  • 4
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 7
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 8
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 9
    米軍が兵器を太平洋から中東に大移動、対中抑止に空白
  • 10
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中