最新記事

アジア

「天安門事件を謝罪するはずがない」

2009年6月4日(木)17時25分

――政府は天安門事件について真実を語る必要がないのか、それとも語る勇気がないのか?

 語ることなどできはしない。(流血の弾圧は)天安門事件だけではないのだから。今年は中華人民共和国の建国60周年にもあたる。49年当時、私は13歳の少女だった。私はこの目で当時の中国政府が(台湾に逃げず)大陸に残った国民党の人々を弾圧し、殺すのを見た。たくさんの人々が殺されていった。

 つまり天安門事件が公平に解決されたら、今度は文化大革命をどう扱うのかという話になる。迫害された法輪講の人々は? チベットは? 政府にできるはずがない。

――6月4日にはどのような形の追悼を予定しているのか。

 私と夫は20周年に向けて長い文章を発表するつもりで準備してきた。去年の10月には、夫の故郷の江蘇省に滞在中に警察に連行されそうになる事件があった。

 その数日後、夫は脳卒中で倒れた。自宅の電話番号さえ思い出せなくなったが、退院後にリハビリに務めたおかげで順調に回復している。パソコンを使って執筆作業を再開できるまでになった。ただ夫はとても疲れている。

――健康を犠牲にしてまで取り組んできたのか。

 これほど根を詰めなければもっと早く回復できただろう。完成のために2人とも命の危険を冒してきた。(書いたものは)社会正義を求める従来の声明の延長線上にある。

――去年の四川大地震の際、中国政府は(建設中の手抜き工事のせいで)倒壊した校舎で死亡した子供たちの親に哀悼の意を表した。政府が天安門事件の遺族にも謝罪することはあると思うか?

 政府は絶対に謝罪などしない。もし胡錦涛(フー・チンタオ)国家主席がこの私、丁子霖を排除したいと考えているとしたら、今年は逮捕する絶好のチャンスだ。逮捕しておかないと、そのうち高いツケを払うことになる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

12月住宅着工戸数は前年比マイナス2.5%、8カ月

ビジネス

みずほ証の10ー12月期、純利益は4.4倍 債券や

ビジネス

アングル:中銀デジタル通貨、トランプ氏禁止令で中国

ビジネス

日本製鉄、山陽特殊製鋼を完全子会社に 1株2750
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 4
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 5
    東京23区内でも所得格差と学力格差の相関関係は明らか
  • 6
    ピークアウトする中国経済...「借金取り」に転じた「…
  • 7
    「やっぱりかわいい」10年ぶり復帰のキャメロン・デ…
  • 8
    フジテレビ局員の「公益通報」だったのか...スポーツ…
  • 9
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 10
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果が異なる【最新研究】
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 6
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 7
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 8
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 9
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 10
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中