最新記事

メンタルヘルス

中学でいじめに遭い、インポスター症候群が悪化。メンタルヘルスを乗り越えるアプリを作った

Helping Each Other

2024年07月07日(日)12時30分
アナイア・シン(15歳、米カリフォルニア州在住)
15歳のアナイア・シン

同じ苦しみを経験している同世代の仲間がいることを伝えたいと、15歳のアナイア・シンは言う ANAIAH SINGH

<仲間外れにされ、悪口を言われ、「あんたは生きる価値ない」そんな冷酷なメッセージを送られた。今は高校1年生。助けてほしい人と助けたい人を結ぶP2Pのアプリを提供している>

5歳の頃の私に、小学6年生から直面することになるメンタルヘルスの難題について話をしたら、彼女は大きくなりたくないと思っただろう。

最近はかなりましになったけれど、中学時代のつらい経験は忘れられるものではない。ひどいいじめ、孤立、慢性的なストレス。私のメンタルヘルスの旅は苦しみのジェットコースターだった。


私は転校が多く、仲間外れにされ、意地悪くからかわれた。5年生から中学卒業までは、最悪のいじめを経験した。学年全体で20人ほどしかおらず、同級生は私に宿題をやらせ、悪口を言い、噂を流して、ほぼ毎日、怒鳴っていた。

6年生のとき、数人が私のメールアドレスを見つけて、「あんたは生きている価値がない」「誰からも愛されていない」など冷酷なメッセージを送ってきた。何回も言われるうちに、本当にそうなのだと思うようになった。自尊心の低さに苦しみ、いつも鬱の症状に襲われていた。

高校に入ると、慢性的なストレスは私の生活のあらゆる部分に浸透し、しょっちゅう体調を崩して家から出られなくなった。強いストレスは精神的にも肉体的にも私をむしばんだ。睡眠不足でいつも疲れていて、気持ちは焦るばかり。周囲から評価されても、自己肯定感が低いせいで否定的に捉えてしまうインポスター症候群に拍車がかかった。ゴールのないレースを走っているような気分だった。

たぶん、いちばん悲しかったのは、このような問題を1人で抱えていたことだ。

米疾病対策センター(CDC)の報告によると、長期にわたって悲しみや絶望感を抱くティーンエージャーは、2009年から19年にかけて40%も増加している。6年生の頃、私には頼れる人がいなかった。でも今は、私が必要としていた人に、私自身がなりつつある。

ポケットの中の友達

現在、私は高校1年生。10代の若者がメンタルヘルスの問題を乗り越える方法に革命を起こすアプリ「ハートトーク」を提供している。

これは音声メッセージで「命綱」を提供するP2P(ピア・トゥ・ピア)のアプリで、世界中の若者が互いに支え合うメッセージを録音したり聞いたりできる。つらいとき、ポケットの中に友人の慰めの声があるようなものだ。

ここで立ち止まるつもりはない。私の使命は、たくさんの人にメッセージを録音してもらい、世界中に支援の波を広げることだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上

ワールド

ガザ支援搬入認めるようイスラエル首相に要請=トラン
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 3

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 4

    アメリカ日本食ブームの立役者、ロッキー青木の財産…

  • 5

    「生で食べればいい」にちょっと待った! 注目のブ…

  • 1

    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    アメリカ日本食ブームの立役者、ロッキー青木の財産…

  • 4

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 5

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 1

    アメリカ日本食ブームの立役者、ロッキー青木の財産…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…

  • 4

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 5

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:独占取材 カンボジア国際詐欺

特集:独占取材 カンボジア国際詐欺

2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影