『リーン・イン』を期待された高学歴女性「ヒーブ」の苦悩は、男性にとっても他人事ではなかった

2015年、カリフォルニア州司法長官(当時)カマラ・ハリスとFacebook COO(当時) のシェリル・サンドバーグがFacebook 本社にて Robert Galbraith-REUTERS
<男性中心の雇用社会に適応し、「男並み」にキャリアを積んでいるとされたエリート女性たち。しかし、その困難や葛藤は重層的で複雑だった...>
「女性の視点から」「女性の活躍」「女性の感性」......。「女性目線」を活かしてつくられた大ヒット商品や超人気サービスの裏には、「ヒーブ」と呼ばれる人びとの活躍があった。仕事に家事、育児や介護など、頑張りつづけた女たちの格闘と葛藤、そして知られざる「女性活躍」の歴史とは? 満薗勇著『消費者をケアする女性たち──「ヒーブ」たちと「女らしさ」の戦後史』(青土社)「まえがき」より抜粋。
正直に告白をすれば、私がヒーブ(HEIB)(*1)のことを知ったのはごく最近のことである。
ヒーブという言葉に初めて接したのは、戦後日本の消費史に関する基本資料を収集し始めた数年前のことで、本格的に興味をもって調べ始めたのは、この原稿を書きあげる9カ月ほど前のことであった。
ヒーブとは何か、ヒーブが歴史研究の対象としていかに興味深いものであるか、ということは本文に記した通りなのでそちらに譲り、ここでは、学問的な説明を少し離れて、私がヒーブという対象に惹かれながらそこに何をみていたのかを、私的な雑感を交えながら書き留めておくことにしたい。
正確な理解を脇に置いて卑近ないい方をすれば、日本のヒーブとは、有名企業の正社員としてフルタイムで働く高学歴女性のことで、やりがいのある仕事にその高い能力を発揮し、仕事だけでなく、家事や育児・介護も頑張ろうとする努力家で前向きな女性たちのことである(定義めいた書き方で誤解を招くといけないので、学問上の正確な理解については必ず本論を参照してほしい)。
本書が扱うのは、1970年代から1990年代半ばまでのその歴史である。
一方、1980年生まれの高学歴(であることはおそらく疑いようのない)男性である私は、いま大学に安定したポスト得て、やりがいのある仕事(研究)に打ち込むことができている。
ヒーブについて調べ始めた当初は、彼女たちが女性として抱える困難や葛藤にジェンダーの問題を強く感じ、時代はズレるものの、それでも私が直接・間接に見聞きしてきた女性の姿をそこにみることが多かった。
私は(あえて言えば)たまたま男性であるがゆえに、女性特有の困難や葛藤から逃れることができていたのだという受け止め方をしていたのである。
しかし、史料を読み進めるにつれて、ヒーブの抱える困難や葛藤は、私が抱える不安や迷いと地続きであるということも強く感じるようになっていった。
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