ソフトスキル後発国の日本人がグローバルで生き残るためにできること
子どもに決めさせてアイデンティティを確立する
「自分で決めていいよ」を英語で「It's your choice」「It's up to you」と言います。アメリカの親が子どもにしつこいくらい頻繁に使う表現です。レストランの食べ物、洋服、本など、身の回りの小さな選択から始めて、成長に応じて、より重要な選択を子どもの判断にゆだねていきます。
何が食べたいのか、どんな服を着たいのか、髪型はどうしたいのか、何をして遊びたいのか、休日にどこに行きたいのか、どんな習い事をしたいのか、子どもは自問自答しながら、自分で考えて、自分で決める訓練を積むことができます。この経験が「自己=アイデンディディ」の確立に影響してくるのです。
日本では小学高学年以下の子どもに選択させることは少ないと思います。子どもの食事、おやつ、洋服、習い事、身の回りの物などは「親が」選んで与えるのが一般的です。親からすれば、子どもに似合う物や健康に良い物を選んであげているわけですが、その一方で、子どもから「自分で決めるチャンス」を奪っているとも言えます。
進学や就職など、人生の大きな岐路において、右と左、どちらの道を選択するかによって、その後の人生は全く違ったものになります。人の意見に流されて右に行くのか、自分の考えを信じて左に行くのか、どちらが悔いのない人生を歩めるのかは明白です。
ところが、たくさんの人が本意ではない選択してしまうのです。その理由は「自分のことがよく分からない」からです。だから、とりあえず、みんなと一緒の道に進むという選択をしてしまうのです。
まずは小さなことを子どもに決めさせてみてください。「自分のことは自分で決める」訓練を重ねることで、自分の頭でしっかり考えて、自分にとって最適な選択ができる子どもに育っていきます。
[執筆者]
船津徹
TLC for Kids代表。明治大学経営学部卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。2001年ハワイにてグローバル人材育成を行なう学習塾TLC for Kidsを開設。2015年カリフォルニア校、2017年上海校開設。これまでに4500名以上のバイリンガル育成に携わる。著書に『世界標準の子育て』(ダイヤモンド社)『世界で活躍する子の英語力の育て方』(大和書房)がある。