最新記事

映画

『ブラック・ウィドウ』は、マーベル映画で新機軸の大ヒット作となる予感

A Rare Marvel Female Superhero

2021年07月16日(金)14時59分
デーナ・スティーブンズ(映画評論家)
映画『ブラック・ウィドウ』

姉妹役を演じるヨハンソン(左)とピュー(右)の絡みも見どころ MARVEL STUDIOSーSLATE

<スカーレット・ヨハンソンとフローレンス・ピューの演技が生む化学反応は、マッチョなマーベルの新しい「顔」になれる>

『ブラック・ウィドウ』は、アメリカンコミックを原作とするマーベル作品に無関心な人にもおすすめしたい作品。映画館の大画面とコミックブックのスーパーヒーローは相性がいいことを改めて示せそうな、意外な秀作だ。

主人公のブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフは、高度な訓練を受けた超一流の暗殺者から正義のヒーローへと転身した人物。しかし、激戦の後には鎮痛剤が必要なナイーブな一面も持ち合わせている。マーベル作品の中から、これほど人間味のあるキャラクターを拾い上げたことが、そもそも新鮮だ。

主演のスカーレット・ヨハンソンは、マーベル作品では自分のキャラクターが脇役に追いやられ、時には「アベンジャーズ」の男性ヒーローから欲望の対象にされる性差別を問題視したことがある。だがナターシャと妹のエレーナ(フローレンス・ピュー)を中心に据え、どちらのキャラクターにもロマンチックな要素のかけらも見せない本作に、そんな批判は当てはまらない。

1995年の米オハイオ州を舞台にした冒頭部分では、姉妹の生い立ちが描かれる。エバー・アンダーソンが演じる幼年時代のナターシャは、並木道を自転車で走って母と妹が待つ家に帰る。だが平穏な空気は、父アレクセイ(デビッド・ハーバー)が帰宅した瞬間に一変する。ある脅威から逃れるため、一家はすぐに逃げなくてはならなかった。

マーベル映画では異色の脚本と演出

21年後。大人になったナターシャは、ノルウェーの田舎で連邦捜査官のチームから身を隠していた。ソコビア協定なるものに違反し、連邦政府とアベンジャーズの両方から反感を買っていた。

彼女は1人でトレーラーハウスに住み、トラブルに巻き込まれないようにしていたが、あるとき橋の上でハイテク装備に身を包んだ男に襲われる。そこから妹がまだ生きており、ハンガリーに住んでいる証拠をつかみ、再会する。

映画の核心となる、あまり幸せとは言えない家族の再会は、通常のマーベル映画よりもドラマチックかつコミカルで、何とも言えない感情表現をもって演じられる。

通常、アベンジャーズのプライベートな生活は、宇宙を救うための激しい戦闘の合間にわずかに見られるだけ。だが本作では、家族の物語が悪役の陰謀に組み込まれている。

作品の後半部分では、ナターシャら機能不全家族が4人そろって、悪のドレイコフに立ち向かう。頭脳と戦闘能力の両方で主導権を握っているのは、女性だ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

CFTC、予測市場のインサイダー取引注視 新任の執

ワールド

ガザでのUNRWA職員殺害の調査を=退任の事務局長

ビジネス

米ナイキ、予想外の減収予想 中国市場低迷が業績回復

ビジネス

アマゾン、デルタ航空と機内Wi─Fi契約 スターリ
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 3

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

  • 4

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 5

    生理休暇、意外にも日本女性は恵まれてる? なぜ欧米…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    セレブたちがハロウィンに見せた本気コスプレ、誰が…

  • 3

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

  • 4

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 5

    「自由すぎる王族」レディ・アメリア・ウィンザーが「…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

  • 3

    「自由すぎる王族」レディ・アメリア・ウィンザーが「…

  • 4

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 5

    ハリウッド大注目の映画監督「HIKARI」とは? 「アイ…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準

特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準

2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ