失業者数は男性の4倍! パンデミックで女性はどれだけ損をしている?
A STAGGERING PRICE
マドウィッツが本誌のために行った試算によれば、パンデミックで失業または離職した女性の長期的損失のうち、40%は現在の収入を失ったことによるもの、30%は将来の収入の伸びの低下によるもの、30%は老後資金の減少によるものだった。
もちろん、個人差はある。例えば、若い女性は収入減少の影響を受ける年数が長いため、長期的損失がさらに膨らむ可能性がある。このほかにも離職期間の長さ、現在の給与水準と将来の賃金上昇、老後の長さと老後資金の運用成績、401k(確定拠出型年金)の加入歴、全ての要因が生涯所得に影響を与える。
しかも今回の試算は、パンデミック以前から育児や介護のために仕事を休んでいた女性への累積的な影響を考慮していない。アメリカの働く女性はパンデミックの前から、経済的に不利な状況に置かれていた。19年の女性の平均年収は男性の83%。黒人やヒスパニック系の女性の場合、格差はさらに大きかった。
特に大きな影響を与えているのが子育ての経済的コストだ。14年の調査によると、女性は子供を1人産むごとに生涯所得が平均4%減少する。要因の1つは雇用者による差別的扱い。有給の育児休暇制度や安価な保育園が十分に整備されていないせいで、母親が育児のために長期間仕事から離れなければならない点も無視できない。
障害を持つ子供の看護を頼めなくなった
パンデミックは女性たちに、もう1人子供を産むことに匹敵する影響を与えた。違いは、強制的な離職がとてつもない規模で発生したことだ。
ニュージャージー州アトランティックシティー近郊に住むスーザン・コールグエデス(47)は、3児の母でもある美術教師。パンデミックで二重の打撃を受けた多くの女性の1人だ。
重度の障害を持つ長男の世話をするため、20年近くパートタイムで働いていたが、17年にフルタイムの職に復帰した。「これで遅れを取り戻せると思った」と、彼女は言う。
だが終身雇用資格を得るまであと1年というときに、パンデミックが発生。24時間体制の看護が必要な息子のために頼りにしていた看護師たちは、感染リスクの高い病院などの施設に勤務していたため、隔離やその他の理由で看護を頼めないことが多くなった。
一方、9歳と7歳の下の子供は学校に行けず、リモート学習で自宅にいるようになった。
それでも、勤務先の学校がリモート授業だった間は、在宅勤務で仕事ができたこともあり、同じく教員の夫と一緒に仕事と看護をどうにか両立できていた。しかし、9月に対面式の授業が再開されると、勤務先から出勤を求められた。
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