話す力を鍛えるアメリカの学校教育
中学からはディベートで鍛える
中学から高校にかけてはグループプロジェクトやディベートを通して「論理的に話す力」と「説得する技術」を訓練します。
グループプロジェクトは、数人のグループ単位で、与えられた課題についてリサーチし、意見をまとめて発表したり、ディスカッションを行うものです。チーム全体で評価されますので、チームワークやリーダーシップが要求されます。
ディベートは、ある議題について「賛成派」と「反対派」にグループを分けて、それぞれの立場から、根拠を述べ合い、説得力を競い合うものです。たとえば「原発は廃止すべきだ」というトピックについて、「賛成」と「反対」の立場から、それぞれが理由と根拠を論証していきます。より高い説得力と合理性を持って理論を構築したチームが勝ちです。
ディベートでは、どちらのチームが「賛成」「反対」になるか直前まで知らされないことが多く、賛否分かれる議題について、その両面の立場から議論を作ったり、反証する訓練を積むことができます。賛成と反対、一つのトピックについて両面から深く検証することで、自分の固定観念やバイアスに気づくことができ、クリティカルシンキング(批判的思考)を身につけることができます。
ディベートの目的は議論で相手を打ち負かすことでも、揚げ足取りをすることでもありません。どんな質問や課題にも瞬時に考え、判断し、相手を納得させる話術を身につけることがゴールです。これを実現するには、筋密を立てて、分かりやすく話す力を日常的に訓練することが不可欠です。
家庭で子どもの話す力を鍛える方法
子どもの話す力を伸ばすには年長者と話をすることが近道です。子ども同士の対話では多くの場合感情が先に立ち、論理的に話す力はなかなか身につきません。
子どもにとって一番身近な年長者は親ですから、まずは何でも話し合える良好な親子関係を構築することが第一。そして親は、子どもとの会話の中に「なぜ?」「どうして?」「根拠は?」と質問を投げかけます。親が上手に質問することによって子どもは、より深く考えて論理的に発言できるようになっていきます。
小学3〜4年生くらいになると、子どももある程度高度な思考ができるようになります。そこで、その日のニュースや新聞記事などからトピックを見つけて、親子で「賛成」「反対」に分かれてディベートをしてみましょう。
最初は子どもに「賛成」か「反対」選ばせてください。
たとえば「英語の教科化についてどう思う?」という議題でディベートをする時、まずはそのトピックについて説明します。そして、子どもが「勉強しなければいけない教科が増えるから反対」と言えば、親は「グローバル化が進んでいるから賛成」と、逆の立場から反論していくのです。
ディベートのポイントは「賛成」「反対」、両方の立場から議論できるようにすることですが、最初は子どもが選んだ立場で立論できるように練習します。
子どもがディベートに慣れてきたら、自分の考えとは反対の立場でも議論させてみるのです。話す力はもちろん、論理思考やクリティカルシンキングを伸ばすことができます。