コロナ禍×夏休みで拡大する学力格差の矛先は弱者へ
伸び続ける子どもに共通する資質とは?
オンライン授業への移行により子どもの学習活動の多くが家庭に委ねられるようになりました。同時にデジタルディバイスやインターネット環境の充実度、集中できる学習場所の有無、親のサポート度合いなど、家庭環境の違いによって「学力格差」が拡大する傾向が見られるようになりました。
私はアメリカで学習塾を経営していますが、家庭環境による学力差はコロナ禍以前から存在する問題です。サマースライドも同様で、毎年一定数の子どもに学力低下や学習意欲の減退が起こります。
その一方で、着々と学力や技能を積み上げていく子どももたくさんいます。長年教育に携わり、様々な家庭環境で育つ子どもたちを見てきましたが、決定的な差を作っているのは、家庭の経済的な豊かさでも、育つ場所でも、親の学歴や職業でもありません。
伸び続ける子どもに共通するのは「よい習慣」が身についていることです。「よい習慣」とは、子どもの人間性をつくるベースになる行動習慣のことです。性格、メンタリティ、やる気なども含めた人間性は、よい習慣によって作られていきます。その習慣を身につけさせるための教育が家庭で行われているのです。
習慣はコツコツと同じ行動を繰り返すことで身につきます。例えば元気に挨拶する、身の回りのことは自分でやる、毎日運動をするなどです。習慣作りのポイントは親が命令するのでなく、子どもに選択肢を与え「自分でその行動を選んでいる」と実感させることです。
[執筆者]
船津徹
TLC for Kids代表。明治大学経営学部卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。2001年ハワイにてグローバル人材育成を行なう学習塾TLC for Kidsを開設。2015年カリフォルニア校、2017年上海校開設。これまでに4500名以上のバイリンガル育成に携わる。著書に『世界標準の子育て』(ダイヤモンド社)『世界で活躍する子の英語力の育て方』(大和書房)がある。