最新記事

ヘルス

感染症対策に有効というビタミンD、どれだけ取れば大丈夫?

2021年03月05日(金)13時35分
岩澤里美(スイス在住ジャーナリスト)

参考までに、この2者が薦める充足の最低のライン40ng/mlを目標にして、ビタミンDサプリメントを取っていない体重70㎏の人の現在の値を15 ng/mlとして計算してみよう。2者とも3カ月での達成を目安としている。

GrassrootsHealthでは1日4000IU取れば5割の確率で40ng/mlに達し、1日6000IU取れば9割の確率で40ng/mlに達すると表示される。リーネル博士が指摘したように、1日の摂取量は到達度の早さに関係しているということだ。博士は1日5000IUを摂取している。

一方nextvitalでは、1日約6000IU取れば達すると見込み、その後は1日約3300IU取れば40ng/mlを維持できるという。

日米欧の政府機関が示す1日の摂取目安量は、数千IUではなく数百IUのレベルで、1日の摂取上限量が4000IUとなっている。数百IUを取った場合、30ng/mlや40ng/mlに達するには非常に長い時間がかかるだろう。政府機関が高めの摂取目安量を提示しないのは、世界的に多数の被験者を使った調査がまだ多く行われておらず、確実性が足りないからだと考えられる。

国際オーソモレキュラー医学会ニュース日本語版でも、数千IUレベルの摂取を薦める。そして、ビタミンD摂取量について一般的な誤解があると指摘している。オーソモレキュラー医学は、ビタミンやミネラルなどにより病気の予防・治療を行う医療で、2度ノーベル賞を受賞したライナス・ポーリング博士が提唱したものだ。


【国際オーソモレキュラー医学会ニュース日本語版「どうすれば新型コロナウイルス感染のパンデミックを1カ月で収められるか」の情報】
■新型コロナウイルス感染予防には、血中ビタミンDの充足度は最低30ng/mlが必要。
■30ng/mlに確実に達するには、成人で1日4000 IUを3カ月間取らないといけない。
■各政府によるビタミンDの推奨1日摂取量は主に骨の健康に設定基準が置かれているため、感染拡大への対処にはまったく足りない。
■ビタミンDによる有毒性が表れるとされるレベルは、1日3万IU以上を3カ月間取り200ng/mlに達すること。

数千IUというと、取り過ぎになるのではと心配する人もいるだろう。しかし、上記以外にも、数千IUは過剰ではないとする立場の人たちはいる。ドイツのサプリメントに関するオンラインプラットフォームsupplementbibel.de(医師、補完代替医師、化学者、栄養指導士などのチームが運営)では、過剰摂取というのは、「1日4万IU以上を数カ月間取った場合」「推奨される1日の目安量の200倍を数カ月間取った場合」のことを指すのだと説明している。

ビタミンDは信用されない?

ビタミンDに新型コロナウイルス感染を予防したり重症化を抑える可能性があるとはいえ、リーネル博士は、人々のビタミンDに対する信頼は高まらないのではないかではと懸念する。理由はいくつかある。

1つは、摂取目安量の誤解により1日の摂取量が少な過ぎる点だ。効果を感じられる濃度(たとえば40~50ng/ml以上)に達するまでに時間がかかり過ぎ、「効果なんてないじゃないか」と摂取をやめてしまう人が多いことが予想される。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国EV3社、EUの関税措置巡り異議申し立て

ワールド

トランプ氏、プーチン氏と近く会談の意向 戦争終結望

ワールド

関税避けたければ米で生産を、トランプ氏演説 利下げ

ワールド

米上院委、エネルギー委トップの人事承認 第2次トラ
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    ヘンリー王子「画期的勝利で和解」...メディアが違法…

  • 2

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

  • 3

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 4

    メーガン妃とヘンリー王子の「山火事見物」に大ブー…

  • 5

    レザーパンツで「女性特有の感染症リスク」が増加...…

  • 1

    メーガン妃とヘンリー王子の「山火事見物」に大ブー…

  • 2

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

  • 3

    レザーパンツで「女性特有の感染症リスク」が増加...…

  • 4

    「男性に守られるだけのヒロイン像」は絶滅?...韓ド…

  • 5

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 1

    ヨルダン皇太子一家の「グリーティングカード流出」…

  • 2

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 3

    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…

  • 4

    キャサリン妃の「結婚前からの大変身」が話題に...「…

  • 5

    韓国Z世代の人気ラッパー、イ・ヨンジが語った「Small …

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:トランプの頭の中

特集:トランプの頭の中

2025年1月28日号(1/21発売)

いよいよ始まる第2次トランプ政権。再任大統領の行動原理と世界観を知る