社会で必要なのに日本人家庭で教えないスキル
コミュニケーション力は誰でも身につけられる技術
日本ではコミュニケーション力は「持って生まれた性格」と考えている人が多いと思います。外交的な性格の人はコミュニケーションが上手い。内向的な人はコミュニケーションが下手。
実際にはコミュニケーション力と性格は、一般に考えられているほど強い相関関係はありません。外交的な人にもコミュニケーション下手な人は多いですし、内向的な人にもコミュニケーション上手な人はたくさんいます。
コミュニケーション力というのは「人間関係を構築する技術」です。持って生まれた性格に関わらず、人付き合いのルールを知り、人と関わり合う練習を重ねれば、どの子も身につけることができる「スキル」なのです。
アメリカ人家庭では、幼い子どもに、笑顔の作り方や相手の目を見てあいさつする方法を教えます。どの子も、相手が大人だろうが、外国人だろうが、初対面だろうが、しっかり目を見て大きなスマイルであいさつできます。笑顔は周囲の人々に好感を与え、場の雰囲気を和ませることを親が教えているのです。
コミュニケーション力が身についていないと、友だちが作れなかったり、集団に馴染めなかったり、異性との交流がうまくいかなかったり、誤解されたり、トラブルに巻き込まれたり、子どもが嫌な思いをする場面が多くなります。そうしないために「親が」子どもにコミュニケーションの技術を教えているのです。
日本人の親はしつけや礼儀作法にはうるさいですが、コミュニケーション教育には熱心ではありません。「あいさつしなさい」と表面的な礼儀は教えますが、どうしたら友だちが作れるのか?どうしたら人と打ち解けられるのか?どうしたら異性と良い関係を構築できるのか?その具体的な技術を子どもに教えている家庭は少ないのではないでしょうか。
2016年に内閣府が実施した調査では、引きこもりの総数は約70万人。引きこもり予備軍がその倍の約155万人というのが日本の現実です。引きこもりの原因は「人間関係がうまくいかない」「不登校になった」「就職活動がうまくいかない」「大学になじめない」「職場になじめない」など、コミュニケーション力不足であることは明らかです。
コミュニケーション力の土台は家族関係が作る
子どものコミュニケーション力を育てるスタートは家族関係です。子どもにとって初めて出会う他人である親や兄弟姉妹との関係が良好であれば、家族以外の人とも良好な関係を構築しやすくなります。