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英会話では英語が身につかない2つの理由

2020年07月07日(火)15時35分
船津徹

maroke-iStock

<いくら英語で話しができても、学力に直結するわけではない。高度な英語力を身につけるには、英会話だけでなく「読む力」を鍛え、子どもの言語吸収能力を活かすのがポイント>

子どもの英語教育を考える時、多くの人は「英会話」を思い浮かべると思います。英語の読み書きや文法は学校で勉強するから習わせる必要はない。それよりも日本人が苦手な「英会話」を子どもには習わせるべきだ、という考えです。
 
実はこの「英語教育=英会話」という思い込みが、日本人の英語力を長年に渡って停滞させている原因の一つであると私は考えています。

言語吸収能力をリーディングに活かす

小さい子どもほど英語を聞き取る力や正確な発音を身につける力が高く、英会話を短期間で身につけることができるのは事実です。しかし子どもの優れた言語能力を「英会話だけ」に使うのはもったいない!というのが私の考えです。

私は子どもの言語能力を英語の「リーディング力育成」に活用すべきであると考え、歌やチャンツを通して英語の読書力を身につけるカリキュラムを構築しました。これを私がアメリカで主宰する塾や現地の小学校(ESLクラス)で実践したところ、たちまち子どもたちのリーディング力が上達し、それに比例して英語の他の技能(話す、聞く、書く)も向上したのです。

子どもの言語吸収能力を「リーディング力育成」へと結びつけることで、日本人の子どもであっても英語の本が流暢なネイティブ発音で読めるようになります。英語の本が読めるようになれば、子どもは自学自習で英語力を限りなく向上させていくことができるのです。

子どもの英語教育を成功させる近道は「英会話バイアス」から脱却し「リーディング力育成」へと英語学習の重点を転換することです。リーディング力の育成を目標に置き、子どもに適切な指導を与えれば、どの子も高度な英語力を獲得することが可能なのです。

日本で英会話だけやっても...

子どもを「英会話」に通わせている方は多いと思います。確かに幼い頃からネイティブ英語に接することで、英語特有の発音やリズムに親しむことができます。また外国人と触れ合う経験は、異文化理解を促進し、外国や英語に興味を持つきっかけとなるでしょう。しかし残念ながら、英会話(だけ)では高度な英語力を達成することはできません。

その理由は大きく2つあります。一つは、学習時間が少なすぎること。英語習得の目安となる学習時間は最低でも「2500時間前後」と考えられています。(米国国務省/FSI)日本人が学校教育を通して英語を学習する時間は、多い生徒で1500時間程度です。つまり学校教育で足りない「プラス1000時間」を家庭学習で補う必要があるのです。

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