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ヨガ

認知症予防に効果あり? 週1〜2回のヨガで脳が活性化

2019年12月27日(金)12時30分
松丸さとみ

Vasyl Dolmatov-iStock

<過去の研究11本を分析したところ、ヨガの実践により、記憶や情報処理、感情のコントロールを司る脳の部分に良い影響があることが示唆された ......>

過去に発表された11本の研究を分析

有酸素運動が脳の活性化に役立つことは過去の研究ですでに明らかになっているが、有酸素運動が苦手な人でも、運動しながら脳を活性化する方法があるようだ。このほど行われた調査で、ヨガも有酸素運動と同様の効果を脳にもたらすことが明らかになった。ヨガの実践により、記憶や情報処理、感情のコントロールを司る脳の部分に良い影響があることが示唆された。

この調査は、ヨガの実践と脳の健康の関連性について調べた過去の研究11本をメタ分析したもの。米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のネハ・ゴーテ教授らが調査を行い、結果を学術誌「ブレイン・プラスティシティー」(脳の可塑性)に発表した。

イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の発表文によると、11の研究のうち5つは、過去にヨガの経験があまりない人たちに10〜24週間、週1度か2度のヨガを実践してもらった上でヨガの効果を調べたものだった。ヨガの習慣を付ける前と後とで、脳の健康状態がどの程度変わったかを比較した。ほかにも、定期的にヨガを実践する人とそうでない人の脳の違いを測定したものもあった。

脳の測定にはそれぞれ、磁気共鳴画像(MRI)や磁気共鳴機能画像法(fMRI)、または単一光子放射型コンピュータ断層撮影法が使われた。

ヨガで海馬、扁桃体などが増大

ゴーテ教授によると、11の研究では一貫して、ヨガの実践により海馬の増大が見られたという。これまでも有酸素運動で海馬が増大するとした研究は多くあるが、今回のヨガの調査でも同じことが示されたとゴーテ教授は話す。

海馬は、記憶の処理を司る部分であり、年齢とともに縮小することが分かっている。ゴーテ教授はさらに、認知症やアルツハイマーなどで最初に影響を受ける部分が海馬でもあると指摘する。

また、扁桃体という感情を司る脳の部分も、ヨガを実践している人としていない人を比較すると、ヨガ実践者の方が大きい傾向にあるという。前頭前野皮質と帯状皮質、さらにはデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)のような脳のネットワークもまた、定期的にヨガをやっている人ほど、大きかったり、効率よく活動していたりした傾向にあった。

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