最新記事

ファッション

「服は毎日変えない」新常識に? 着るものの買い方、選び方は変わっていくか

2018年12月12日(水)15時00分
寺町幸枝

100日間同じ服を着て登校すると宣言した中学教師のジュリア・ムーニー (インスタグラム oneoutfit100days より)

<100日間同じ服を着ると宣言した米国の教師。環境や社会に配慮したブランドを選ぶ英国のメーガン妃。ファッションにおけるサステナビリティを真に考える人が増えている>

今や「サステナビリティ」は世界規模で重要な考え方となった。ことファッションの世界では、製造過程のサステナビリティを意識せずにブランドビジネスは通用しないほど。しかしこれまでの購買行動そのものが変わらなければ、本当のサステナビリティは確立できないと考えている人たちも増えている。その影響はファッション業界に大きなプレッシャーをかけつつある。

全米メディアの注目を集めた、一教師の行動

USAトゥデイが報じたところによると、ニュージャージー州の中学で教師をしているジュリア・ムーニー(34歳)は、9月の学期始めから学校に出勤する丸100日間、同じグレーのボタンワンピースを着用すると、インスタグラムを通じて宣言した。その理由は、自分の生徒たちに「過剰という文化」について意識してほしいと思ったからだと言う。

「毎日同じ服を着てはいけないというルールはどこにも書かれていない」と話すムーニー。子どもたちの中にはびこる「新しい服を買わなくてはならない」というプレッシャーや、とにかくファストファッションに身を委ね、「消費、消費、消費」で頭がいっぱいの生徒や同僚たちに、彼女の行動をきっかけに、「服を着る」という行為について、意見交換をするきっかけにしたいと思ったというのだ。

しかしこの行動によって、ムーニーは一躍全米、そして世界を巻き込んだ大きな論争の中心になった。ここ数年、「ファストファッション」VS「サステナブルファッション」という構図が、次第に広まりつつある。この時の「サステナブルファッション」とは、リサイクル素材によってできた製品や、環境に配慮して作られた素材によってできた商品を購入すること。あるいは、これまでより少ない数になっても、品質が良く、長く着用できるものを購入することを意味してきた。

そしてこうした社会や環境に配慮した製品を購入することは、オーガニックフードや、動物実験せずに作られたメイク道具(通称クリーンメイクアップコスメ)を購入することが流行になったように、今や「トレンド」になりつつある。しかしここにきて、真のアンチファストファッションと言える、とにかく「新しい製品を購入すること」そのものへ、疑問を投げかける人が出てきたのだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ガザ和平計画の安保理採択、「和平への第一歩」とパレ

ワールド

中国の若年失業率、10月は17.3%に低下

ワールド

ツバル首相が台湾訪問、「特別な関係を大切にしている

ビジネス

債務対GDP比下げ財政持続を実現、市場の信認確保=
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    【独占】「難しいけれど、スローダウンする」...カナ…

  • 3

    ビーガン食しか出さない保育園 健康な体は作れるの…

  • 4

    女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚…

  • 5

    テイラー・スウィフトだけじゃない...多くの女性が標…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 3

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 4

    女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚…

  • 5

    アン王女と「瓜二つ」レディ・ルイーズ・ウィンザーっ…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    「エプスタインに襲われた過去」と向き合って声を上…

  • 3

    加工した自撮り写真のように整形したい......インス…

  • 4

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 5

    やはり「泣かせた」のはキャサリン妃でなく、メーガ…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:世界も「老害」戦争

特集:世界も「老害」戦争

2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に