最新記事

ファッション

ファッションの可能性と自身の行動について考える体験型ミュージアム

2018年11月22日(木)18時30分
河内秀子(ドイツ在住ライター)

ファッションビジネスにおける革新的なイノベーション事例が50以上を展示 Fashion for Good (c) Presstigieux

<ファッション業界が抱える問題と解決の糸口になるイノベーションを主題にしたユニークなミュージアムがアムステルダムにオープンした>

今年10月、数多くの美術館が立ち並ぶオランダ、アムステルダムに「ファッション・フォー・グッド・エクスペリエンス(Fashion for Good Experience)」というミュージアムがオープンし、話題を呼んでいる。

ファッションにおけるイノベーションをインタラクティブに学べる体験型ミュージアムで、革新的な技術がそれを応用したファッションの事例とともに展示されている。入場料は無料でここを訪れるあらゆる人たちに、自分の消費行動を見直し、ファッション業界にどうやってポジティブな影響を与えられるかを考えてもらうことが目的だという。

現状を変えるための50以上の革新的な事例

844平米、3フロアに広がる展示は地下1階からスタートする。2000年降急激に成長したファストファッションをはじめ現代の大量生産を主軸とするファッションビジネスにおいて、スピードの速い消費の在り方に潜む問題点が指摘されている。綿花栽培から製造、染色、輸出から店に並ぶまで、つまり、自分がいま身につけている服はどうやって作られるのかという商品の背後にある物語が可視化される展示になっている。

展示のメインは2階のイノベーション・ラウンジだ。上記の問題点の解決の糸口となる、50を超える革新的な技術事例が具体的に紹介されている。

例えば、Colorifix社による染色技術。イギリスのデザイナー、ステラ・マッカートニーが今夏、自ブランドのワンピースに取り入れたこの技術は、人工的に合成した微生物を用いて自然の色を布に移すというもの。従来の染色技術に比べ、使用する水の量は10分の1で済み、環境に影響を与える重金属や有機溶剤、酸も使わないため、環境への影響を格段に減らすことができる。

ffg-Stella McCartney x Colorifix- credits Presstigieux-720.jpg

環境への影響を格段に減らす染色技術を利用したステラ マッカートニーのワンピース Fashion for Good (c) Presstigieux

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

訂正(発表者側の申し出)-ユニクロ、3月国内既存店

ワールド

ロシア、石油輸出施設の操業制限 ウクライナの攻撃で

ビジネス

米相互関税は世界に悪影響、交渉で一部解決も=ECB

ワールド

ミャンマー地震、死者2886人 内戦が救助の妨げに
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    2つのドラマでも真実に迫れない、「キャンディ・モン…

  • 3

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 4

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 5

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 3

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 4

    2つのドラマでも真実に迫れない、「キャンディ・モン…

  • 5

    アメリカ日本食ブームの立役者、ロッキー青木の財産…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    レザーパンツで「女性特有の感染症リスク」が増加...…

  • 3

    「日本のハイジ」を通しスイスという国が受容されて…

  • 4

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 5

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:引きこもるアメリカ

特集:引きこもるアメリカ

2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?