最新記事

ヘルス

外で遊ぶ時間が長い子どもは近視になりにくい? その理由は

2018年6月22日(金)14時30分
有元えり

太陽の下で遊ぶことが近視を防ぐ対策に? Choreograph-iStock

<最近の子どもはどうして近視に陥りやすいのか。答えは、外遊びの時間に関連することが、最新の学説から浮かび上がってきた>

近年、小学生の3人にひとりは視力が1.0以下だと言われている近視国家の日本。特に都市部では、低学年から眼鏡が必要になってくるケースが明らかに増えている。現代病とも言える子どもの近視を少しでも良くするために、「視力矯正」と名のつくものをあれこれと試す親も少なくない。しかし概して、いったん悪くなった視力を回復させるのは難しい。

もちろん、親の遺伝的要素も近視を進める要因にはなるだろう。しかし、我が子を近視にさせないために、親としてできることは何なのか。そもそも、最近の子どもはどうして小さいうちから近視に陥りやすいのか──。その答えは、外遊びの時間に関連することが、最新の学説から浮かび上がってきた。

外で長時間過ごさないと、「バイオレットライト」が不足する

「あなたのこども、そのままだと近視になります」(ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)等の著書がある、慶應義塾大学医学部眼科学教室の坪田一男教授とその近視研究チームは、世界各国で報告されている「外で遊ぶ時間が長い子どもに近視が少ない」という研究データに着目。

太陽光の何が影響しているのか? という考察と同時に、強度近視を矯正する眼内レンズの治療からヒントを得て、「バイオレットライト(紫光)」が近視の進行と抑制に関与しているのではないかという仮説を立てた。その後、実験を重ね、5年間の研究の後、近視の進行と抑制に「バイオレットライト」が大きく影響していることを突き止めた

「バイオレットライト」とは、可視光の中で最も波長が短く紫外線に近い紫色の光である。紫外線は、皮膚や目の老化の要因になることが広く知られているが、紫外線により体内でビタミンDが生成され、免疫力向上や骨を丈夫にする、うつの発症を減らすなど、健康にとって必要な光であることが近年話題となっている。その紫外線に最も近い可視光の「バイオレットライト」が、どのように近視と関係しているのか?

近視は、子どもの成長過程で目が大きくなるときに、眼軸長(目の奥行きの長さ)が正常な位置で止まらずにさらに伸びてしまうことが原因であるが、坪田教授らの研究によれば、「バイオレットライト」は眼軸長が伸びるのを抑制する働きをすると報告している。近年の子どもたちは、外遊びの時間が少なくなり、「バイオレットライト」が不足している、というのである。

つまり、なるべく長時間を外で過ごして「バイオレットライト」を浴びることこそが、近視を防ぐ対策になるわけだ。ライフスタイルの変容により、ゲームなどインドア系の遊びが増えて、外遊びの機会を失っている現代っ子がことごとく近視になるのは、ある種必然だったのだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、中国との貿易協定巡りカナダに警告 「1

ワールド

アングル:中国で婚姻数回復傾向続く、ドレス業界が期

ワールド

ウクライナ2都市にロシアが攻撃、和平協議直後

ビジネス

乳児ボツリヌス症の集団感染、バイハート社の粉ミルク
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 2
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味を帯びる「超高齢化」による「中国社会崩壊」
  • 3
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投稿したアメリカを嘲笑する動画にネット爆笑
  • 4
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 5
    サーモンとマグロは要注意...輸入魚に潜む「永遠の化…
  • 6
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 7
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 8
    トランプを支配する「サムライ・ニッポン」的価値観…
  • 9
    「これは違法レベル...」飛行機で「史上最悪のマナー…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 1
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味を帯びる「超高齢化」による「中国社会崩壊」
  • 4
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 5
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 6
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 7
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 8
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 9
    韓国が「モンスター」ミサイルを実戦配備 北朝鮮の…
  • 10
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中