最新記事

教育

学校は週4日制でいい?

2015年6月16日(火)11時27分
マデリーン・カミングス

 小学校2年生を受け持つクリスティーン・ケッターリングは、授業時間が伸びたことにより効率的に教えられるようになったと語る。週5日のときには、国語で1つの物語を読むのに2日必要だった。だが今は読了してからその後のディスカッションまで、すべて1日で終わらせることができる。

 科学の授業では従来の座学の後で、マルチメディアを活用して学ばせる時間的余裕もできた。例えば生態学の授業の後にカメレオンの動画を見せたり、州外に住んでいる科学者とのビデオ会議を準備したりする。

 学校全体として生徒の学力が向上しているかどうかは、まだ様子を見る必要がある。しかし少なくともケッターリングのクラスは、州の読解力テストでの成績を伸ばしていると言う。「私は何も以前と違うことをしていない。変わったといえば、週4日制になったことぐらい」

 ホームデールの教師らは週末が3日になったことで、子供たちが翌週に向けて十分に充電できているのだろうとみている。

 教師にとっても学べる時間が増えた。アイダホ州南西部の都市ボイシの小中高一貫校「セージ・インターナショナル」では、金曜は教師の研修に充てられる。それぞれ新しい教授法を自分のクラスで試した結果などを共有し、どれが一番効果的だったか話し合ったりする。

週5日制に戻した学区も

 週4日制は新しい風潮でもない。1970年代以来、多くの州が年間の授業日数を最小限にしようとしてきた。そんななか週4日制が子供の学力に与える影響について確かなことは分かっていない。共通テストの点数が著しく伸びた学校がある一方、落ち込んだり以前と変わらない学校もあるからだ。

 それでも週4日制にする学区は増え続けており、政治家や教育専門家の間からは懸念の声も聞こえる。例えば、最初は金曜に自己啓発に励んでいた教師のモチベーションも、そのうち下がっていくだろうという指摘だ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 8
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 9
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中