AIが「思ったほどすごくない」5つの理由...まだ問題だらけ、最も重要なのはCO2排出量!?

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<AI快進撃のニュースが続くが、日本人が見過ごしている不都合な事実がある>
『世界のニュースを日本人は何も知らない5――なんでもありの時代に暴れまわる人々』(谷本真由美・著、ワニブックスPLUS新書)の著者の名を聞いてまず思い出すのは、「めいろま」名義でのX(旧Twitter)への歯に衣着せぬポストである。
的を射た主張が多いだけに納得させられることが多い半面、あまりにストレートなものだから時にヒヤヒヤしたりするのも事実。とはいえ重要なポイントは、この著者の豊富な知識量だ。
私はこれまでインターネットベンチャー、国連専門機関の情報通信官、投資銀行、外資系金融機関などでの勤務経験があり、ITガバナンスや監査、調査などの分野で、日本、アメリカ、イタリア、イギリスで働いてきました。
学部生時代には日本からアメリカ南部の私立大学に留学しています。卒業後はアメリカにおいて行政学の専門職大学院と情報管理学の大学院で修士号を取得しました。世界各国の官僚や外交官、国連職員などを教育訓練する大学院です。在学中は紛争国や途上国、独裁国を含め、さまざまな国の政府関係者や国連関係者などと親交を深めました。(「はじめに」より)
まだまだキャリアは続くのだが、いずれにしてもこうしたバックグラウンドを持つからこそ、世界のニュースを熟知しているわけである。しかも(特にその著作では)文章が平易でとても分かりやすい。だからこのシリーズも、5作目まで続くことになったのだろう。
今回も「なるほど」と思わずにはいられないトピック満載なのだが、なかでも注目すべきはAIについての記述だ。「快進撃を続けるAIですが、最近は思ったほどすごくないということがわかってきました」というのだから気になってたまらない。
データ入力が不十分な分野では悲惨なことになる
もっとも大切なことは、AIは学習と出力に莫大なエネルギーが必要だということです。AIには利点もありますが、エネルギー効率の観点でみると生産性を上げるとはいえません。この点はコンピュータがどのように動き、どの程度の電気を使うのかというハードウェアの知識がない人は気がつかないことです。(139ページより)
例えば米マサチューセッツ大学アマースト校が2019年に発表した論文によれば、ひとつのAIモデルを実務で使えるように訓練するために、28万4000キログラムの二酸化炭素を排出することが分かったのだという。
これは、ひとつのAIモデルが実務で使えるようになるまで、膨大な量の言語を読み込ませてデータを学習する最小限の作業をした場合のこと。平均的なアメリカの車5台がスクラップになるまでに排出する二酸化炭素の量とほぼ同等なのだそうだ。
しかも、データを読み込ませて使えるようにする作業の大半は、大学の研究者が担っている。そう考えると、必要とされるマンパワーの量も推して知るべしである。
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