最新記事

災害予知

1400年間の統計で地震予想 自宅にひまわり受信機買う男の「気象データ愛」

2020年1月30日(木)20時00分
高橋ホイコ(ライター) *東洋経済オンラインからの転載

──地震発生後すぐに解説するためには、普段からかなりの勉強が必要だと思うのですが、どうやって時間を作っていますか?

勉強はほとんどやっていません。地震に関心を持ち始めたのは中学生の頃で、とにかく読んでいて面白かったんでしょうね。なんでも頭に入ってきました。そのときのベースが9割です。あとは最新情報を入れていけばいいだけです。

news_20200129_132059_s.jpg

中学2年生のときに本屋で見つけた本がキッカケになったという山口さん(撮影:梅谷秀司)

──中学生の頃、何がキッカケで興味を持ち始めたんですか?

本屋に行ったときに、たまたま棚の上に横倒しで置かれている本があったんです。なんとなく手に取って、それが理科年表という、本当に気象資料の数字しか載っていない本なのですが、それを見て衝撃を受けました。

当時中学2年生で、自分の人生を考えたときに頭の中に残っているのは、せいぜい5年か10年くらいです。そのもっと前、1400年くらい前から地震の記録が残っているんですね。楽しくて楽しくて、学校から帰ったらずっとそればっかり読んでいました。

──本当に数字ばっかりの本ですね......。これがほぼ頭に入っているとはすごい。地震が発生するメカニズムとか、そういう知識とは違いますね。

多くの解説員の方は、どちらかというと予測ですよね。これから雨が降るのかを、雲を見て、空を見て考えるのが好きっていうような方が多いです。私は、気象現象の結果何が起きたのか、どういう被害が出たとか、どういうふうな影響が出たとか、そちらに興味があるんです。


大学は法学部、最初の就職は製薬会社

──中学生のときに興味を持って、それを仕事にするつもりで進学、就職をしてきたのでしょうか。

気象系の大学も目指しましたが理系科目が苦手だったので、次に関心を持っていた法学部に行きました。1995年に就職した会社は薬品会社で、これも気象とはまったく関係ありません。気象予報士の試験が1994年に始まり、その辺から勉強を始めました。1996年3月に合格して、そのときに「準備ができたら気象会社に行こう」と、初めて決断しました。

──それで、転職活動を始めたんですね。

でも、合格後、半年以上は何も活動しませんでした。薬品会社の仕事が嫌いではなかったので。たまたまその年、1996年の秋に転勤の打診があって「今だ」って思いました。急にやめると言い出したので、上司もびっくりしていました。

会社をやめて転職活動を始めたのですが、どんな気象会社があるかまったく知らなくて、本に書かれていたリストの上から順に電話をかけていきました。1社目には冷たく断られ、2社目がウェザーニューズでした。「いい人がいたら取ってますんで」と言ってくれたので、履歴書を送ったりして、1997年1月20日に決まりました。

「ひまわり」のアンテナを自宅の屋根に

──面接では、地震に詳しいことをアピールしたんですか?

そういう話はしなかったと思います。ただ、ひまわりの受信機を買った話はしました。200万円したんです。買ったのは1996年7月で、社会人2年目ですから、買った瞬間、一文無しになりました。

アンテナは直径1メートルくらいあって、屋根の上に取り付けるのに工事の人がきました。受信表示装置はデスクトップでブラウン管モニターのパソコンです。インターネットで見られるひまわりと同じような物です。今思うと何ともない性能ですけど、当時はすごく楽しませてもらいました。1年で壊れましたけど。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、南シナ海でフィリピン船に放水砲

ワールド

スリランカ、26年は6%成長目標 今年は予算遅延で

ビジネス

ノジマ、10月10日を基準日に1対3の株式分割を実

ワールド

ベトナム、水産物輸出禁止の再考を米に要請
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中