TikTokは既に「女子高生アプリではない」、自撮りできない世代も使い始めた
300人収容できる新しいオフィスで取材に応じるバイトダンス日本法人の井藤理人グローバル・ビジネスデベロップメント本部長 Newsweek Japan
<ユーザーの平均利用時間は? 年齢層は? インスタグラムを目指すのか?――世界で急成長中の動画SNS「TikTok」の運営元であるバイトダンス日本法人の井藤理人氏に聞いた>
2018年の日本を席巻した動画アプリ「TikTok(ティックトック)」だが、一過性の流行に終わらず、成長を続けることはできるのか。ジャーナリストの高口康太が、バイトダンス日本法人の井藤理人グローバル・ビジネスデベロップメント本部長に聞いた。
本誌12月25日号「中国発グローバルアプリ TikTokの衝撃」特集に収まりきらなかったインタビューを、特別にウェブで公開する(後編)。
※インタビュー前編:TikTokのブレイクは「芸能人がきっかけではない」バイトダンス井藤理人氏を直撃
※12月25日号(12月18日発売)は「中国発グローバルアプリ TikTokの衝撃」特集。あなたの知らない急成長動画SNS「TikTok(ティックトック)」の仕組み・経済圏・危険性。なぜ中国から世界に広がったのか。なぜ10代・20代はハマるのか。中国、日本、タイ、アメリカでの取材から、その「衝撃」を解き明かす――。
――中国ではユーザーの平均利用時間が50分を超えたという調査会社のレポートがある。日本での利用状況はどうか。
平均利用時間については公表していないが、50分まではいかずとも、近しい利用時間はある。
公開している統計では、MAU(月間アクティブユーザー)が900万だ。私が入社した(5月)頃はまだ600万だった。毎月毎月、急激に伸びていくという実感はある。
――年齢層は? 女子高生中心、あるいは小学生の間でも人気が高いと聞くが。
統計は公開していない。ただ、メインのユーザー層としては20代ということでいいのではないか。「女子高生アプリ」とされていた頃から、ユーザーの年齢層は確実に上がった。
小学生の間で突出した人気があるとは感じていない。利用規約でも13歳以上でなければアカウントは開設できないとしている。ご両親がアカウントを開設して、子供の動画を公開しているケースはあるが。
私の感覚的には、小学生だけでなく、中学生にも高校生にも、大学生にも人気があると思っている。日本にはもともとセルフィー(自撮り)文化がある。私は「TikTokは動くプリクラだ」と説明している。プリクラは友達と一緒に撮って、加工して、切って、友達に渡すものだが、スマホで全部できるようになって、しかも音楽付きの動画になり、加工もできる。それがTikTokなんだと。
(日本の)セルフィー文化、シェア文化というカルチャーが、TikTokにはまったということは間違いない。プリクラもそうだが、一番初めに食いついてくれるのは、やはり女子高生、女子中学生。中国の「抖音」でも最初は若い世代が中心だった。
そもそも、生まれた時からスマホがある世代である今の10代と私たちではデジタルに対するリテラシーが違う。TikTokはUI(ユーザーインターフェイス)が優れていて、誰でも編集がすぐにできるから楽だと言われるが、30代以上の人間がいざ撮影しようとするとやはり難しい。私たちは動画どころかセルフィーにすら抵抗感がある世代なので(笑)。