最新記事
SDGsパートナー

廃プラのみを主原料とする包装資材 使う側もサーキュラーエコノミーに貢献できる和光紙器の「ポリエコレンシリーズ」

2023年12月22日(金)17時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー

polyecolene1.jpg

「ポリエコレンシリーズ」の一貫製造を行っている鈴鹿工場(三重県)の内部

再資源ならではの見た目がメリットに

「『再生材100%でものづくりを』という考えの下、2009年以来、さまざまな再資源を調査してテストを繰り返してきました」と、本橋氏は振り返る。

数種類の再生材から作られた製品は、バージン材(新品の材料)のみで作った製品とは色合いが少し異なる。開発当初はそうしたビジュアル面が顧客になかなか受け入れられなかったという。

「再生材100%では安定した製造が難しく、最初の数年は困難な時期が続きましたが、最終的には安定性のある商品を開発することができました。こうして、3R(リデュース、リユース、リサイクル)が可能な包装資材『ポリエコレンシリーズ』が生まれたのです」と、本橋氏は話す。

試行錯誤していたちょうどその頃、世界的にSDGsという概念が広まったことで、再資源材製品ならではの見た目がバージン材製品との差別化につながり、今では逆にメリットになっているという。

「ゴミ箱」という呼び方をやめる

本橋氏はこの時、SDGsの理念が同社の方針と一致していることに気付いたと言う。

「当社では『ゴミ箱』という言葉を使わないようにしています。社内のSDGs勉強会で、従業員から『ゴミという呼び方を変えたい』という提案があったことがそのきっかけとしてあります。ゴミになる無駄な資源を生まない仕組みを構築し、既存商品もリユース可能なものに進化させる努力を今も重ねています」

wako_study.jpg

社内勉強会の様子

同社では、従業員一人ひとりがSDGs活動に取り組んでおり、例えば海岸清掃などを通じてマイクロプラスチックに触れることで、廃棄物の再利用に対する意識を高めているという。毎年年末には、全従業員参加型のSDGs個人発表会も開催している。

日本は世界有数の廃プラスチック輸出国だが、輸出先の中国や東南アジアが輸入規制を実施したことから、輸出量は年々減りつつある。これを受けて政府は、2022年4月から「プラスチック資源循環促進法」を施行するなど、国内でプラスチックを「資源として循環」させる動きを強めようとしている。

和光紙器の先見の明は評価されるべきで、今後のさらなる事業成長にも期待できるだろう。これから脱炭素対策に取り組むメーカーにとっても、無駄を生まない同社の製造方法や従業員の意識改革など学べることは少なくないはずだ。

【関連記事】
廃棄プラスチックを担架に! 「環境に配慮した防災グッズ」を開発する和光紙器の使命

ニューズウィーク日本版 ジョン・レノン暗殺の真実
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月16日号(12月9日発売)は「ジョン・レノン暗殺の真実」特集。衝撃の事件から45年、暗殺犯が日本人ジャーナリストに語った「真相」 文・青木冨貴子

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国万科、債権者が社債償還延期を拒否 デフォルトリ

ワールド

トランプ氏、経済政策が中間選挙勝利につながるか確信

ビジネス

雇用統計やCPIに注目、年末控えボラティリティー上

ワールド

米ブラウン大学で銃撃、2人死亡・9人負傷 容疑者逃
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 5
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 6
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 7
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 10
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中