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音楽業界全体でアーティストのメンタルサポートを強化...ソニー・ミュージックエンタテインメントが進める「B-side」

2024年12月10日(火)14時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー
小原ブラス氏と奥津マリリ氏

B-sideの一環としてPodcast/YouTube番組「B-side Talk~心の健康ケアしてる?」も配信。MCの小原ブラス氏と奥津マリリ氏(ソニー・ミュージックエンタテインメント提供 撮影:大橋祐希)

<所属アーティストやクリエイターの心身のサポートに力を入れてきたソニー・ミュージックエンタテインメントの取り組みが日本音楽制作者連盟との連携で業界全体に広がっている>

世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや商品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えに基づいてニューズウィーク日本版は昨年に「SDGsアワード」を立ち上げ、今年で2年目を迎えました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇

近年、芸能人の身体と心の健康に関する問題は大きな関心を集めている。こうした中で、株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントは、エンタテインメント業界で先駆けて、所属するアーティストやクリエイターの心身をサポートするプロジェクト「B-side」を2021年に開始した。

アーティストやクリエイターの心身をケアする組織でのサポート体制を確立

SNSの普及によって芸能人とファンの距離が縮まった一方、ときには芸能人が誹謗中傷に悩まされることもあり、アーティストやクリエイターの心身の健康をめぐる問題は社会的にも関心の高いテーマとなっている。

特に、エンターテインメントに携わる人々が大きな打撃を受けたコロナ禍を契機に、これらの問題はますます注目を集めるようになった。

こうした問題は海外でも深刻に受け止められており、欧米では早くから様々な取り組みが行われてきた。そのような状況下において、日本国内でいち早く行動を開始したのが、業界大手のソニーミュージックグループだ。

2021年8月、約20社のソニーミュージックグループ各社においてマネジメント契約のあるアーティスト、俳優、タレント、作家、クリエイター、およびこれらのクリエイターと直接仕事をするスタッフが、心身ともに健康な状態で、そして安心して創作活動に集中できるようサポートする取り組み「B-side」を始動させた。

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「B-side」に込められた想い

これまで、アーティストやクリエイターに対しては、マネージャーを中心としたサポートスタッフが、心身のケアも含めて個別に対応していた。

しかし、マネージャーは必ずしもメンタルヘルスに関して高度な専門知識を持っているわけではなく、負担も大きい。またアーティストを支えようとするあまり、マネージャーなどのスタッフが心身に支障をきたす可能性もある。

こうした課題を踏まえ「B-side」では組織としてのサポート体制を整え、アーティストやクリエイターを支えるスタッフも含めて、専門家に気軽に相談できる環境づくりに努めている。

さらに、2024年には日本音楽制作者連盟(以下、音制連)と連携し、国内の音楽業界全体への「B-side」拡大に乗り出した。

プロジェクトが始動して3年近くが経ち、社内で着実に実績を積み重ねてきたことで、社外からの問い合わせも受けるようになっていた。

そうした中で、音楽業界全体でメンタルヘルス対策に取り組む必要性を感じていた音制連から、業界レベルで利用できる制度に発展させないかと提案されたことがきっかとなった。

現在は、音制連に所属する約230社にサービスを提供すべく、トライアル導入を準備している段階だ。もともと、社内にとどまらず広く利用される事業を目指して立ち上げられたプロジェクトだが、非常に繊細な問題を取り扱うため、守秘義務の徹底をはじめ、社外への展開は慎重を期して進めているという。

また、「B-side」に参加する企業側にもメンタルヘルスについての知識がなければ、アーティストと第三者であるプロのカウンセラーがメンタルに関わる繊細な話をするイメージを持てず、サービスの導入を懐疑的に受け取られる可能性もある。

そのため、利用する会社の担当者を招いた定例会を開催するなど、知識を深める機会を設けることも検討しているという。

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